【時視各角】国が滅びる政権交代もある=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.01.16 10:08
数日前ソウル郊外の半地下の家に住む親戚の姉からショートメッセージが来た。「中国のTHAAD報復のため観光客が減り1月で会社を解雇。家で遊んでいるがこれはいつ終わるのか?」。観光バス運転手である夫の突然の解雇に慌てる姉の表情がちらついた。すぐに電話したところ「会社では2カ月だけ待ってくれと言うが、本当に3月にはTHAAD問題が解決するのか」と尋ねる。その会社で運営する観光バスは80台あるがすべてストップしたという。チャーター便に乗って来た中国人観光客が消え、彼らでにぎわっていた宿泊施設、飲食店、免税店も寂寞としているという。私にこれといった返事があるだろうか。
30代の息子2人は自分の生活費を稼ぐのに忙しく、老後は自分で準備しなければならないこの60代の共稼ぎ夫婦は働く場所さえあればどこへでも行くようになり久しい。姉は「中国の人たちは本当にみみっちい。THAADと観光と何の関係があって私たちを生活できなくするのか! ところでTHAADをしなければ米軍は撤収するのか?」とちくちく刺すような言葉ばかり言う。外交・国防懸案は政府間の問題を超えて庶民の生活問題となった。国民個人個人が詳細な安保問題にまで気を使わなければ暮らせないおかしな国だ。国家権力の空白期に政治が力を集めるどころか極度に分かれて対外防御幕が裂けて起きたことだ。
トランプ氏と習近平氏・安倍氏は「韓国ステーキ」がこのように柔らかい時もあるのだと考えるだろう。フォークとナイフを持って料理に刺しながらあちこち触れてみるのが楽しいようだ。新年早々から習近平陣営は韓国政府と対話は拒否したまま自分たちの話をよく聞く「共に民主党」の議員だけを北京に呼び、「韓国はTHAADを中断せよ」と脅迫した。1週間もたたぬうちに今度はトランプ氏側が青瓦台(チョンワデ、大統領府)安保室長をワシントンに呼んで「THAADは中国が反対しても必ず配備するだろう」と反撃した。巨体同士で直接ぶつからない。騒がしく吠えるばかりでかむことができない与しやすい韓国を間に置いて相手の意志や強度、速度、感覚を計っている。李承晩(イ・スンマン)、朴正熙(パク・チョンヒ)から金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)を経て李明博(イ・ミョンバク)大統領に至るまで、各政権は韓米同盟の上で時代の問題をその時ごとの方式で乗り越えてきた。大韓民国のすべての政権が強大国の間で綱渡りをした。それでも現在のように本音を露わに見せたまま列強の貪欲と攻撃性にさらされことはなかった。