【時視各角】朴槿恵大統領の3本目の矢(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.06.29 11:03
事故の翌日、珍島彭木(ペンモク)港の室内体育館でも大統領は壇上にいた。警護員が二重、三重に取り囲んでいた。これに先立ち鄭ホン原(チョン・ホンウォン)首相が怒った遺族から水をかけられたため、警護室は警戒していたのかもしれない。しかし高性能マイクを握った壇上の大統領の姿からは、グラウンドゼロのブッシュを思い出せなかった。もし壇上から下りて遺族を抱擁し、政府の遅い対処を叱り、現場で事故を収拾する姿を見せていれば。そうして民心を変えていれば、年初に司正の刀を抜く必要も、「成完鍾(ソン・ワンジョン)リスト」に振り回されることもなかったかもしれない。
第一歩を逃した大統領に先月20日、もう一度チャンスが訪れた。国内で最初の中東呼吸器症候群(MERS)患者が出た日だ。しかし大統領は今回も遅れた。3次感染者が出た2日にも全羅南道麗水(ヨス)の創造経済革新センターに行った。その間、4つにもなる「コントロールタワー」は右往左往した。防疫網は問題が多かった。患者が出て16日目、黄色いジャンパー姿の大統領は国立中央医療院を訪れた。しかし矢はすでに民心を大きく外れた。