大衆の動員力は絶妙だ。それは権力を魅力あるようにさせる。疎通と共感の指導力を生産する。その力は支持層の忠誠度を高める。それは過去の朴槿恵（パク・クネ）政治の特長だった。

かつての３金〔金泳三（キム・ヨンサム）・金大中（キム・デジュン）・金鍾泌（キム・ジョンピル）〕政治の破壊力は独特だった。その土台は大衆の動員力だ。彼らは人を連れ歩いた。市民たちは３金の野望に参加した。集団的熱望は広がった。３金はそれで政局を主導した。盧武鉉（ノ・ムヒョン）政治もその威力を誇示した。朴槿恵はその力量を練磨した。

大衆動員力はリーダーシップの劇的要素だ。その力量の確保にも条件がある。人生はドラマでなければならない。３金と盧武鉉の経歴はそうだった。朴槿恵の人生も波乱だった。大統領の娘、両親の悲劇的な死はドラマ的興味を加えた。朴槿恵政治は現場になじんだ。人が多いほどエネルギーが発散された。目にとまるように振る舞うことも手慣れていた。そうしたことはささいだが重要だ。支持の情熱と忠誠を確認する作業だ。朴槿恵の握手は向き合う目と一致した。

大衆動員力は言語で作動する。朴槿恵の話法は圧縮美を見せていた。２００６年地方選挙の時、彼女はテロにあった。病床で語った彼女の言葉は「大田（テジョン）は？」だった。その省略と節制は支持者の想像力を激発させた。そこに同情心が構成した。大衆の動員力は完成された。朴槿恵は大田市長選挙で逆転勝ちした。

大衆動員力は成功した米国大統領の資質だ。レーガンはその妙味を体得した。彼は言語と広報でその手並みを整えた。大衆動員力は未来と開かれた政治を提供する。彼はそれを活用して政策改革の推進力を高めた。レーガンは「偉大な意思疎通者」と呼ばれた。オバマは大衆の中に食い込む。彼は国政の実状を公開して訴える。

朴大統領の統治スタイルは以前とは違う。今のイメージは閉じられていて過去指向だ。国民と距離感、不通の評判は続く。朴槿恵権力は停滞状態だ。青瓦台は朴槿恵キャラクターの長所を失った。大衆動員力は後ろに追いやられた。その自発的な放棄はミステリーだ。

青瓦台の内面の風景は復古的だ。権力の話法は、詩と散文の融合でなければならない。朴大統領の話は散文的なゴマ粒だ。かつて簡潔で凝縮されていた言葉も消えた。大統領の発言は余白を要求する。それが公職社会の創造力を育てる。


【コラム】権力の大衆動員力＝韓国（２）