【時視各角】イエレンの苦悩と主流経済学の危機=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.09.21 09:27
1930年代の米国大恐慌当時も信頼が揺らいだことがある。金融を緩和したのに物価は動かず、ケインズという英国経済学者が「流動性のわな」という新兵器で貨幣数量説を攻撃した。主流経済学では企業と家計を完璧な合理主義者と仮定する。金利が下がれば間違いなく現金の代わりに家や株式を買うのが当然だ。ところが景気低迷が長期化すれば話が変わる。住宅価格や株価がさらに落ちるまで待つのが良い。金利が底なのに家や株式の代わりに現金を保有しようとする人が多くなる理由だ。だれもがお金を持っていようとするのでお金が回る速度が落ちる。フィッシャーの交換方程式でお金(M)を解いてみたところで貨幣流通速度(V)が遅くなれば底の抜けた甕に水を注ぐこととなる。
貨幣数量説をKOさせたケインズは中央銀行の通貨政策よりは政府が大々的な土木工事を行う財政政策が良いという処方箋を出した。米国のニューディール政策以降に各国政府が景気浮揚に乗り出した名分だ。しかしケインズの処方も日本では効果がなかった。「失われた20年」の間、日本政府は景気を浮揚するとしてお金をどんどん投じた。しかし物価はマイナスに下がり、日本政府は世界1位の借金持ちという汚名だけかぶった。米国や欧州政府も雪だるま式増えた莫大な借金に苦しんでいる。財政政策はすでに退化した格好だ。それでも通貨政策も通じない。重患者を前に処方を出せないので主流経済学は危機だ。