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北朝鮮政権のアキレス腱…「カン・ヨンシル同志」板門店脱出事件(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.11.29 16:29
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国連と国際人道機関団体は妊婦・幼児など脆弱階層への支援に目を向ける。妊婦と幼児の健康に極めて重要な時期であるからだ。朴槿恵(パク・クネ)政権当時、対北朝鮮「母子保健1000日プロジェクト」に取り組んだのもこうした背景からだ。母の体内での9カ月間(270日)、そして生後2年間(730日)に集中しようという趣旨だった。北朝鮮兵士の大半は飢饉のため胎児の時期から十分な栄養供給を受けることができなかった世代だ。それで北朝鮮兵営には「カン・ヨンシル(=強栄失)友達」と呼ばれる兵士が特に多いという。軍隊にも食料が供給されず「強い栄養失調」という自嘲の表現だ。

苦難の行軍は現在進行形だ。来月、金正恩委員長は執権6年を迎えるが、北朝鮮の住民の生活はそれほど変わっていない。緊急救護レベルで始まった食料と保健・医療支援は20年を超え、疲労感(donor fatigue)が表れている。労働党の配給網は破綻し、「無償治療」は消えつつある。対北朝鮮医療支援活動をしたユジンベル財団のスティーブ・リントン博士が伝える北朝鮮医療実態はひどい。手術室には電灯がなく、昼に窓の外から鏡で日光を反射させて患部を見ることができたという。空のサイダー瓶を使って薬液を点滴し、ガーゼはぼろぼろになるまで洗って使った。北朝鮮が宣伝のために建設した平壌(ピョンヤン)の最新病棟は「絵に描いた餅」だという。

 
板門店(パンムンジョム)を越えてきたオ・チョンソン氏の体は北朝鮮の劣悪な保健実態を雄弁に語っている。オ氏の内蔵にとぐろを巻いていた27センチの回虫が投げかけるメッセージは百聞は一見に如かずだ。2012年4月の最初の演説で「二度と人民が苦しむことがないようにする」と述べた金正恩委員長の約束は空手形になった。当惑しているのか、北朝鮮の国営宣伝メディアはオ氏の亡命について半月以上も口を閉じている。

こうした局面で金鍾大(キム・ジョンデ)正義党議員がオ氏への「人格侵害」問題を主張した。金議員は、手術執刀医イ・グクジョン教授が回虫の検出などを公開して亡命兵士の人格を傷つけたと批判したのだ。脱北を阻止しようと銃撃を浴びせた北朝鮮軍と変わらないという主張までした。世論の袋叩きにあって謝罪したが、適当に済ませることではない。本当に彼が北朝鮮住民の人格と尊厳を考えているのなら、駆虫剤一つも与えることができない北朝鮮当局に批判の声明でも出すのが正しい。それが血税で議員の歳費を負担する国民に犯した罪を償う道だ。「正義」という看板を掲げた所属政党にかけた迷惑を少しでも減らす方法でもある。


北朝鮮政権のアキレス腱…「カン・ヨンシル同志」板門店脱出事件(3)

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