日本右翼の攻撃を受けて慰安婦問題を掘り下げた日系米国人監督

日本右翼の攻撃を受けて慰安婦問題を掘り下げた日系米国人監督

2018年10月11日13時08分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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ドキュメンタリー『日本軍慰安婦問題の主戦場』。釜山(プサン)映画祭での3回の上映のうち12日の最後の上映が残っている。(写真=釜山国際映画祭)
  「ほとんどの日本人は旧日本軍慰安婦問題がよいことでないことを知っているが、これ以上謝罪は必要ないと考えている。『慰安所は合法的だったし、すでに謝罪をした』という政府の言葉を信じているからだ。韓国と日本がまた和解するには歴史に関する正しい教育と理解がカギになる。これを土台に日本政府は心から謝罪しなければいけない」。

  今年の第23回釜山(プサン)国際映画祭でドキュメンタリー『日本軍慰安婦問題の主戦場』を公開した日系米国人監督ミキネ・デザキ(Mikine Dezaki)氏(35)の言葉だ。デザキ氏の最初の作品となるこのドキュメンタリーは、慰安婦被害者とその支持団体・学者だけでなく、慰安婦の存在を否定する日本自民党、極右女性団体なでしこアクション、親日派米国人トニー・モラノ氏などの深層インタビューを含んでいる点が目を引く。

  ドキュメンタリーに登場した日本の右翼は被害女性の不正確な陳述を攻撃しながら「慰安婦はいたが『性的奴隷』ではない。本人は望まなかったかもしれないが、親の借金を返すために働いたのだから韓国内の家父長制度が問題だ。米国などの慰安婦少女像設置には中国の力が働いた」と繰り返し主張する。人権問題でなく国家間の対立に向かわせるこうした盲目的で矛盾した論理は、逆説的にその底意を疑わせる。

  デザキ氏が慰安婦問題に注目し始めたのは、彼自身がこうした国粋主義者から攻撃を受けたのがきっかけになった。釜山で会ったデザキ氏は「米フロリダでアジア系移民者として人種差別と向き合いながら育った」とし「2007年から5年間、交換教育プログラム講師として日本で働く間、在日韓国人などに対する差別を見て他人事のようでなかった。日本国内では人種差別に関する認識や議論が足りないと考え、ユーチューブでそのような話をしたところ、意外にも激しい攻撃を受けた」と述べた。デザキ氏は「日本国内の人種差別(Racism in Japan)」と題した映像によって日本国粋主義勢力に個人情報が暴かれ、悪質な書き込みに苦しめられた。米日刊紙ワシントンポストがこれを報道し、映像の照会数は90万回に迫った。

  その後1年間はタイで僧侶として過ごし、日本に戻って大学院で国際関係学を専攻することになったデザキ氏は、自分のように右翼勢力から攻撃を受けた人たちに視線を向けた。代表的な事例が慰安婦証言を初めて報道した植村隆元朝日新聞記者だった。デザキ氏は「日本の右翼はなぜ慰安婦問題を伏せようとするのか気になって調べてみると、日本と韓国のメディアが相反する見方をしていた」とし「実際にどんなことがあったのかを発見しようと30人ほどにインタビューをした」と話した。「当初、日本の右翼が正しいかもしれないと思ったが、他の学者や歴史家に会って人道主義的な観点に目を向けるようになった」とし「先入観なく取材するというのは容易でなかったし、編集も難しかったが、わずか数人の観客でも私がたどった過程によって考えが変わることを望んでこのドキュメンタリーを制作した」と語った。

  デザキ氏は慰安婦問題に関する安倍政権の国粋主義フレームの背後に日本会議(天皇制復活と靖国神社参拝を促す最大極右団体)との政治的癒着があると指摘した。また米国が中国の膨張を牽制するために北東アジア最前線友好国の韓国と日本の拙速和解に圧力を加えてきたと主張した。一方では慰安婦が20万人という韓国側の数値が誇張されている可能性を提示し、「誤った数値は日本の右翼に攻撃の口実を与えかねない。慰安婦問題に関して建設的な対話をするには韓国・日本ともに自国中心のフレームから抜け出さなければいけない」と主張した。

  ドキュメンタリーには「私たちの子孫のことを考えて私たちは正しい歴史を教え、正しい教育をしなければいけない」という慰安婦被害者の李容洙 (イ・ヨンス)さんの言葉が引用される。これはそのまま韓国にも適用される。デザキ氏は7日、今回の映画祭に『記憶の戦争』を出品したイ・キル・ボラ監督と公開対談をした。『記憶の戦争』はベトナム戦争当時の韓国軍の良民虐殺を扱ったドキュメンタリーだ。デザキ氏は「韓国の人たちが見なければいけない映画」とし「攻撃を受けることを知りながらも自国の過ちと向き合うイ・キル・ボラ監督は非常に勇敢だと思う」と述べた。

  釜山映画祭のホ・ギョン・プログラマーは今回のドキュメンタリーについて「制作の過程で日本の右翼の脅迫を受けながら監督が命がけで作った作品」と語った。これに関しデザキ氏は「社会や人に貢献できる職業を持ちたくて医師になる準備していたが、タイに行って僧侶として過ごし、瞑想を勉強することになった」とし「死に関する瞑想に集中し、人生の質は人生の長さと関係がないことを悟った。命をかけてもやるべきことはやらなければいけないと決心した。この映画をより多くの日本の人たちに見せるためにユーチューブに公開することも考えている」と伝えた。

  デザキ氏は次の作品のテーマとして日本国内の性暴力被害、難民問題などを考えている。「慰安婦について調査する過程で日本国内で男性による性犯罪がいかに多く隠されているかを知った」とし「韓国は『#MeToo(ミートゥー)運動』で性戦争が起きているが、日本は不幸にも依然として被害者が話しにくいようだ。現職男性記者の性暴力を告発した伊藤詩織氏の勇気は社会に大きな波紋を起こすものだが、拡大せずに止まってしまった」と述べた。また「隠蔽された権力関係では弱者が常に苦痛を受ける」とし「大衆がこうした事案にもっと関心を持って話せるようにすることが重要だ。対話を始めるには少なくとも知らなければいけない」と強調した。
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