任鍾竜委員長は大宇造船海洋が韓進海運と比較されることを快く思わなかった。新政権との取り引き説も一蹴した。「（文在寅代表がしないと言った）人材縮小も最大限する。だれかだけを大目に見る構造調整はない」とした。本当に取り引きしたとすればそのようにしただろうかという意味だ。彼の「正答」に容易に同意しない私に、彼は「現場に行ってみなさい」と話した。彼は「現場には人がいる。船がある。６０００億ウォンのソナンゴルドリルシップが２隻もある。あの船を海に足止めしておくのは罪だと思った」と話した。そこで私は先月３０日に巨済を訪れた。

「あなたが怪我してまでやるべき重要なことはない」。第１建造ドックに掲げられたプラカードが目に入った。向かい側にあの有名なソナンゴルドリルシップがある。海洋プラント、大宇造船海洋の不良の象徴だ。すべて作ったが船主が代金を払えないとして引き取りを先送りしている。いつ引き渡すのか。果たして引き渡せるのかわからない。受け取れなかった代金は１隻当たり５０００億ウォン、２隻で１兆ウォンだ。大宇造船海洋に２次救済金融を支援させた主犯だ。大宇造船海洋がつぶれてしまえば代金を取り返す道は永遠に消えることになりかねない。

構造調整の核心は競争力だ。競争力がないならば清算するのが正しい。大宇造船海洋は海洋プラント事業を事実上たたむことにした。かつては年間８兆ウォンだった海洋プラント売り上げをいまは２兆～２兆５０００億ウォン程度に減らした。能力が備わっている工事だけ引き受けることにした。海洋プラント総括のイ・ヨンスン常務は「この５年間の損失のうち海洋プラントだけで６０％を占める」とした。知られている通り、実力もないのに低価格受注にしがみついたためだ。

「旧経営陣は業績だけ問い詰めた。売り上げ至上主義だ。設計・管理能力もなく低価格受注に頼った。現代重工業とサムスン重工業も同じだった。韓国ビッグスリー間の競争に火がついて被害を増やした。結局海外の船主の腹だけふくれた」。

大宇造船海洋は受注審議委員会を作り低価格受注を禁止した。後の祭りだが、しっかり守られるかは疑問だ。いま韓国造船ビッグスリーの目標はひとまず生き残ることだ。需要に合わせて規模を縮小するものの、仕事は最大限集めなければならない。いつ低価格競争の持病が再発するかもわからない。いまでも海外船主は「韓国３社は絶対妥協しないだろう」と話しているという。

人材構造調整は質と量で不十分だ。１次自助計画により２年間２万人以上減らしたが、ほとんどが協力会社の社員（１万９０００人）だ。元請けは３１１８人の縮小にとどまり、それもほとんどが（約２２００人）管理職だ。協力会社のキム・ヨンボ代表は「同じ技術で同じ仕事をするのに人件費は元請け１人当たり協力会社１．８人の割合。それでも構造調整時には協力会社の社員が真っ先に切られる」と話した。任鍾竜委員長の２次自助計画にも追加人員削減が入っている。だが結果は変わらないだろう。組合員はごくわずか、ほとんど協力会社の人材が整理されるだろう。すでに労組は「会社が再建したら削られた福祉を元に戻してほしい」と債権団に催促している。これでは「底の抜けた甕に水を注ぐようなもの」「国民の血税で労組にだけいい目を見させるもの」という懸念が現実化するものだ。

他の造船会社の不満も大きい。大宇造船海洋が事実上政府所有のため、さらに甘やかし、ばらまくのではないかということだ。競合会社関係者は「大宇造船海洋はわれわれよりはるかに構造調整が劣る。中国政府がゾンビ企業を支援して韓国企業が被害を受けるのとどこが変わるのか」と反問した。

潜水艦や軍艦を主に作る特殊船部門は競争力がある。政府からの受注が中心で代金を踏み倒される心配もない。潜水艦開発事業担当のソ・ドンシク常務は、高付加価値船舶の成否は結局人材だと話す。「軍艦・潜水艦は人材の戦いだ。　東京大学は造船工学科をなくした。中国は造船工学科があるが別に人気はない。韓国は造船工学科が１３カ所に上る。競争力の核心だ」。


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