【コラム】韓国の松は「恨」の情緒をはらむ
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.06.08 15:21
韓国での生活で何が特別かという話になると、普通、固有の文化や伝統、飲食や建築の話で始めることが多い。韓国に住む外国人が故郷の家族や友達と対話をすれば、きっとこのような話題で始まるだろう。
しかし私には初めて韓国に来た時から深い印象を受け、今でも感嘆する特別なものがある。それは韓国の自然と地形だ。初めて光化門(クァンファムン)広場に行った時、景福宮(キョンボックン)の方を眺めて深い感銘を受けたが、特に宮廷の後ろと横に位置する北岳山(プガクサン)と仁王山(インワンサン)にずっと視線を奪われた。この2つの山はそれまでに見たどの山とも違った。大きな岩と輝く岩肌、それを覆って育つ松の独特の形態と美しさがそれだ。米国や欧州ではこのような山があることを想像もできないだろう。
なぜ韓国の山と木はこのように違う姿なのか。最近、有名な写真作家ペ・ビョンウ氏にインタビューする機会があった。ペ氏は特に松を中心に韓国の自然を表しながら世界的な名声を得た作家であるため、尋ねてみた。ペ氏は写真を始めた頃、海を中心に作業をしたという。しかし海は韓国らしさを表わすのに過度に普遍的な被写体だという結論にいたった。何をもって韓国の情緒を込めて世界と分かち合えるのかを悩んだ末、松がそれであることに気づいたという。