【時視各角】超低金利の呪いにかかるのか=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2016.08.29 10:29
米連邦準備理事会(FRB)の動きが尋常でない。イエレン議長は26日、「雇用と経済予測が改善し、政策金利を引き上げる条件が強まった」と明らかにした。政治的な誤解を避けて米大統領選挙(11月8日)前の9月に利上げする可能性が高い。昨年12月に9年ぶりに利上げしたFRBはその後、利上げを自制してきた。英国の欧州連合(EU)離脱と中国の景気減速を恐れてのことだ。しかし今は利上げすべき理由があふれている。米国の6月の失業率は完全雇用レベルの4.7%であり、平均賃金は前年同月比で2.6%も上がった。住宅価格は5.2%上昇し、米国の株価も過去最高水準だ。消費者物価だけが横ばいで、7年間のゼロ金利が全方向でバブルを起こしている。
金利が需要・供給だけで決まるというのは単純な考え方だ。金利は非常に政治的な事案だ。米共和党は伝統的に減税→消費増加→経済成長の新自由主義式消費主導型成長を前に出す。レーガン大統領時代には超高金利も辞さなかった。これに対し民主党は伝統的に利下げ→投資増加→雇用拡大に固執する。雇用が拡大して賃金が増えてこそ支持層である低所得層と労働者の所得不均衡が緩和されると信じる。エール大のジェームズ・トービン教授の弟子のであるイエレン議長らが信奉する「エールパラダイム」だ。
米民主党はゼロ金利と量的緩和で利益を得た。金融システム崩壊とマイナス成長を防ぎ、失業率も引き下げた。しかし劇薬処方による社会的不満も相当なものだった。二極化が深まり、ドナルド・トランプ氏やバーニー・サンダース氏のような両極端候補が大統領選挙で旋風を起こした。極端な金融緩和が左右双方で「公共の敵」になったのだ。トランプ氏は露骨に「FRBがヒラリー候補当選のために金利を上げない」と非難する。FRBを信頼するという米国民も38%にすぎず、20年前(70%台)の半分にしかならない。さまざまな批判を受けるほどゼロ金利の政治的基盤は弱まった。