◆誰でも家で短時間に試作品を製作

ナイキは３Ｄプリンティング技術を活用したサッカーシューズ「Ｖａｐｏｒ　Ｌａｓｅｒ　Ｔａｌｏｎ」を３月に出した。３Ｄプリンティング方式で鋲が入ったプラスチックの靴底やスパイクなどを作った。アディダスも３Ｄプリンターを利用して試作品開発時間を短縮した。以前は１２人の技術者が４－６週間かけて製造していたが、今では２人の技術者が１－２日以内に製作できるようになった。

ボーイングは３００個ほどの小型航空機部品を３Ｄプリンティングを利用して生産中で、ノキアは３Ｄプリンターで携帯電話ケースを顧客が自ら作るサービスを始めた。ゼネラルエレクトリック（ＧＥ）・フォード・フィアットなど家電・自動車業界も各種部品と試作品の製作に３Ｄプリンターを活用している。

最近になって３Ｄプリンティングの用途も大きく増えた。３Ｄプリンターで製作した服・靴・下着などが登場するファッションショーが開かれ、スマートフォンケースや簡単なアクセサリー・おもちゃなど小物を製作する個人事業者も出てきている。

◆２０１９年には１３３億ドル市場に成長

日本ではバレンタインデーを迎え、恋人の顔の３Ｄチョコレート商品を発売し、話題になった。この技術を最も積極的に使用している分野は医療産業だ。患者の身体に合わせて人工骨・関節・臓器などを製作する。成均館大医大耳鼻咽喉科のペク・ジョンファン教授は副鼻腔がんの手術に３Ｄプリンター技術を適用し、手術後副作用の一つである顔と目の陥没の可能性を最小化した。

しかし副作用もある。米国では「ディフェンス・ディストリビューテッド」という団体が３Ｄプリンターでプラスチック拳銃の型を作り、世界的な論争を招いた。米国政府が設計図の削除を指示したが、すでに１０万人以上がファイルをダウンロードしたことが分かった。いやまインターネット上の設計図をダウンロードすれば、家でも各種違法銃器を製作できるということだ。

著作権侵害問題はさらに深刻だ。たとえば犯罪者が各種文化財や芸術品の図面を手に入れた後、精巧な模造品を流通させる場合、被害者が量産されるおそれがある。原著作者の許諾なく製品が複製され、コピー商品が氾濫する可能性もそれだけ高まる。

それでも３Ｄプリンター市場が急速に成長するという見方は変わらない。米国・欧州連合（ＥＵ）など主要国では、産学連係技術および製品開発支援を通じて３Ｄプリンティング産業を育成している。日本は経済産業省が３０億円を支援する研究プロジェクトで“砂型” ３Ｄプリンターを開発中で、中国は３Ｄプリンター技術の産業化および国際交流を活性化するため、北京に「３Ｄプリンター技術産業連盟」を設立した。

◆世界市場シェア韓国２．２％、中国８．６％

韓国の３Ｄプリンター産業はまだ始まったばかりだ。いくつかの中小企業が３Ｄプリンター市場に挑戦しているが、まだ大企業は大きな関心を向けていない。何よりも政府の支援がほとんどないため、競争力の確保が容易ではない。

韓国は情報技術（ＩＴ）強国だが、世界市場でシェアは２．２％にすぎず、米国（３８．３％）、日本（１０．２％）、ドイツ（９．３％）、中国（８．６％）とは大きな差がある。

政府は遅れながらも対策の準備に動いている。産業通商資源部は８日、「３Ｄプリンティング産業発展戦略フォーラム」の発隊式を開き、産業育成に着手した。産業部は関連企業と大学および研究所から意見を集めた後、９月に３Ｄプリンティング産業発展のための政策を発表する計画だ。

ＫＴ経営経済研究所のイ・ボギョン研究員は「３Ｄプリンティングは現政権が推進する創造経済とも相通ずるものがある」とし「従来の製造業の競争力向上はもちろん、関連ソフトウェアおよびソリューションなどの開発を通じて情報通信技術（ＩＣＴ）産業にも発展の機会を提供すると期待される」と述べた。


ビキニから飛行機まで一人で複製…３Ｄプリンターが製造業の未来を変える＝韓国（１）