<インタビュー>韓国産ヘリ開発者「スリオンの生存性はブラックホーク級」(1)

<インタビュー>韓国産ヘリ開発者「スリオンの生存性はブラックホーク級」(1)

2018年08月10日11時31分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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韓国型中型ヘリコプター「スリオン」を背景に立つファン・ジョンソン博士。
  大韓民国を世界11番目のヘリコプター開発国にしたヘリコプター「スリオン」に視線が集まる2つの事件が最近発生した。一つは6月5日に国防部練兵場の芝にスリオンが着陸したことだ。スリオン輸入に関心を表してきたフィリピンのドゥテルテ大統領に見せるために韓国政府が準備したイベントだった。

  1カ月余り過ぎた先月17日には悲劇が発生した。スリオンを基本モデルとして開発した海兵隊上陸機動ヘリコプター「マリンオン」が墜落し、操縦士ら5人が殉職した。世間はまたスリオンに言及した。「名品」「あき缶」「軍需産業不正の精髄」などの言葉が出てきた。スリオン開発着手6カ月後の2007年1月から2012年6月の開発完了まで参加したファン・ジョンソン元国防科学研究所首席研究員(62、機械工学博士)に8日に会った。

  --マリンオン墜落事故調査委員会が今日、公式的に発足した。何が事故の原因だと考えるか。

  「まずは事故で犠牲になった方々に哀悼を表し、遺族に慰めの言葉を伝えたい。私も空軍出身であり、同期生が任務飛行中に殉職する事件を何度か経験したので、その悲しみの重みを感じる。欧州で発生した『スーパープーマ』ヘリコプター墜落事故と似ているといわれるが、異なるケースだとみている。マリンオンのブレード(翼)は1分あたり約270回転、1秒あたり4.5回転する。ブレード全体が外れる前に一部が先に外れるところが見えた。この場合、正常稼働の場合でも想像もできない荷重が片方に傾く。調査を控えた状況でいかなる予断もしないのがよい」

  --マリンオンの事故をきっかけに基本モデルのスリオンの品質の話が出ている。

  「スリオンとマリンオンは別のヘリコプターという点を言いたい。マリンオンの開発には直接参加していないので詳細に話せないが、マリンオンは海兵隊の作戦環境を勘案して機体腐食防止処理、艦上用の折りたたみ式ブレード、航続距離を増やすための補助燃料タンク追加、TACAN (Tactical Air Navigation)追加などスリオンを基準にしていくつかの部分が変更された。基本モデルが開発されれば、これを基本にさまざまな派生型モデルが開発される。モデル別の要求度によって相当な部分が改造または改良されるため、それぞれのモデルで問題が発生した場合、基本モデルと比較するのは難しい」

  空軍士官学校の教授を経て2007年に国防科学研究所に移ったファン博士は国防科学研究所の韓国型ヘリコプター事業団(KHP)技術管理団の研究員として機体の構造に関する静荷重および動荷重(Static and Dynamic Load)、耐墜落性(Crashworthiness)分野を担当した。ファン教授は「歴史上、我々の手で初めて開発したスリオンヘリコプター開発事業に参加したのは光栄」と語った。スリオンは韓国政府の「海外協力会社の支援で73カ月以内の自らの手でヘリコプターを開発する」という目標のもと、フランスのエアバスヘリコプターズ(AH、ユーロコプター)社のAS532クーガー(Cougar)ヘリコプターを基本モデルに開発された。開発着手から4年後に初度飛行に成功し、2018年8月現在90機ほどが配備されている。

  。

  --数年前の冬季ヘリコプター防風窓(Windshield)結氷など問題が多かったという報道があった。

  「防風窓の氷除去性能はもともと開発当時から保有していた。冬に数カ月間にわたり米ミシガン州で実行された2次システム結氷試験を通じて十分でない事項を補完し、現在は堪航当局の堪航(認証)影響性検討を終え、改善した形状に対する設計変更の承認を受ける過程にある。操縦席のガラスの上にヘリコプターが電線にかかった場合に切っていく切断機がある。ここに結氷し、氷が割れながらエンジン吸入口に入るのを防ぐために電線切断機に熱線を入れた。世界的に類例を見つけるのが難しい」

  --ヘリコプターのような総合システムは海外でも開発初期に事故がこのように発生するか。

  「我々がヘリコプターについて話す時にまず思い浮かぶモデルが陸軍が多数保有している米シコルスキーのUH-60ブラックホークだ。1970年序盤、米陸軍の多目的機動ヘリコプター(UTTAS)機種の選定を狙ったUH-60の試製機YUH-60Aヘリコプターが運用試験中に武装兵力搭乗状態で山岳に墜落した。軽いけが人が発生し、ひどく損傷したローターブレード(翼)を事故現場で交換して基地に帰還した。この事故がUH-60の選定に大きく寄与した。『事故は発生する』という前提で飛行機の生存性を高く評価したのだ」

  --スリオンの生存性はどうか。

  「耐墜落性という用語がある。発生しうる墜落状況で生存性を保障するレベルをいう。さまざまな墜落条件で操縦士を含む搭乗者の生存を保障するための設計概念だ。常識的にそのレベルが高いほど生存性が高まる。スリオンは参照モデルのAS532クーガーに比べて高いレベルの耐墜落性を持つよう設計された。UH-60ブラックホークと似たレベルだ」

<インタビュー>韓国産ヘリ開発者「スリオンの生存性はブラックホーク級」(2)

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