鉄道は現代の輸送手段の嚆矢だった。自動車と航空機の速い発達で重要性は減ったが、中距離輸送では依然として競争力が高い。近年、鉄道は技術革新で競争力がさらに高まった。高速鉄道が我々の日常生活に及ぼした影響にこの点がよく表れている。ちょうど数日前、政府が北朝鮮に鉄道網の復元を提案した。ユーラシア横断鉄道に関する議論はすでに数年前から検討されてきた。鉄道専門家の宋達鎬（ソン・ダルホ）博士に鉄道の現況と展望を尋ねた。

－－韓国の鉄道産業の現況は。特に国際的な競争力が気になる。

「韓国の鉄道産業は高速鉄道の開通で一段階レベルアップした。技術は先進国に非常に近いレベルに上がったとみている。車両技術は先進国と対等だ。信号体系分野ではやや不足している。幸い、政府は一気に先進国レベルに高めるためのプログラムを推進している。このような努力が成功すれば、技術ではひとまず競争力を確保できるだろうと考える。しかし韓国市場が小さいという事情が根本的な制約要因として作用している。内需が小さいため韓国の鉄道企業は小さく、規模の経済を実現しにくい。最も大きい鉄道企業の現代ロテムが世界市場の２．３％を占め、１０位圏に上がったほどだ。もともと鉄道産業は自動車産業や航空機産業のように多くの部品を組み立てる産業だ。現在、韓国鉄道産業にはそのような部品会社がほとんどない。この点が韓国の鉄道産業の弱点だ。さらに車両組立企業がすべての部品を組み立てるより、中間部品会社が部品を組み立ててモジュールを作り、組立会社がそのモジュールを組み立てる方式に変わっている。モジュール生産会社の層が薄い状態で組立会社だけで先進国に追いつくのは容易でない」

－－そのようなモジュール化は自動車、船舶、航空機ですでにかなり以前から見られる傾向だが、韓国市場の反応が遅れたということなのか。

「そうだ。残念ながら、こうした傾向を追えるほど大きくて能力のある部品会社が少なく、韓国の鉄道産業の発展を難しくしている。あれこれと生産コストが高く、競争力を確保するのが難しい」

－－韓国の大企業は世界を相手にするグローバル企業であり、あらゆる面で競争力があってこそ生存し、発展できる。現実的に、生産性に比べてあまりにも高い賃金が競争力を落としている。生産性は先進国の半分をやや上回る程度だが、賃金ははるかに高い。鉄道産業は事情はどうか。

「例外ではない。競争力が高まるはずがない。低い生産性と高い賃金という制約条件を乗り越えるには自動化が必要だが、韓国企業の規模があまりにも小さいため自動化も容易でない。韓国市場が小さいため、海外市場に進出するべきだが、小さい市場で育った韓国企業は小さいため規模の経済を得にくく、このため競争力を高めるのが難しい。悪循環が形成されている」

－－中国の鉄道産業は競争力が優れている。中国の影響は大きいのか。

「中国企業の競争力は脅威だ。中国は非常に広い国であり、鉄道産業の競争力がもともと高い。近年は膨大な高速鉄道網（ｎｅｔｗｏｒｋ）を建設しながら技術と経験を得た。賃金は低い方だが、生産性は急速に向上し、製造コストが低い。さらに国の支援まで受ける。そのように確保した競争力で世界市場に進出している。当分はどの国も中国とは競争するのが難しいだろう。結局、韓国企業はコストを低めて競争力を確保しなければいけない」

－－数年前から韓国社会ではユーラシア横断鉄道が関心を集めている。現実性がある話なのか。

「ユーラシア横断鉄道は現在、４つの路線がある。最も東側の路線がロシアがかなり以前に建設したシベリア横断鉄道（ＴＳＲ）だ。その西側に中国を通る路線３つがある。日露戦争後に日本が運営した満州路線（ＴＭＲ）、モンゴルを通る路線（ＴＭＧＲ）、そして中国北部、新疆地域を通って中央アジアに行く中国横断路線（ＴＣＲ）だ。この４つの路線のうち最も有望なのがＴＣＲだ。この路線は中国政府の西域進出政策ですでに活発に運営されている。先日、中国とドイツが年５０回以上定期運行することで合意した。ユーラシア横断鉄道が議論され、ＴＳＲに関する話が多い。しかしＴＣＲもすでにドイツまでつながっていて、韓国が中央アジアの数カ国との連結を考慮する場合、ＴＳＲよりも有利な面がある。そして韓中列車フェリーになれば、北朝鮮を通過するより１０００キロ以上も短くなり、北朝鮮の影響も受けない。したがってＴＳＲとともにＴＣＲも議論するのがよい。ＴＳＲだけを議論する場合より韓国が主導的になれる余地が大きい」


「韓国鉄道と中国横断鉄道の連結を議論するべき」（２）