次世代移動通信（５Ｇ）スマートフォンの頭脳となるプラットホームが登場した。クアルコムは５日（現地時間）、米ハワイで開催された「Ｓｎａｐｄｒａｇｏｎ　Ｔｅｃｈ　Ｓｕｍｍｉｔ２０１８」で５Ｇモバイルプラットホームの「Ｓｎａｐｄｒａｇｏｎ８５５」を公開した。５Ｇ向けのモバイルアプリケーションプロセッサ（ＡＰ）だ。ＡＰはスマートフォンの性能を左右する核心部品。

スマートフォンにＳｎａｐｄｒａｇｏｎ８５５が搭載されれば、まず駆動速度が上がる。例えばアプリ実行時に４Ｇに比べて最大２０倍速くなる。一度に処理できるデータ容量も大きく増え、バーチャルリアリティ（ＶＲ）ゲーミング、拡張現実（ＡＲ）ショッピング、リアルタイムビデオコラボレーションなどの機能をモバイルで容易に利用できる。

人工知能（ＡＩ）が適用され、音声やカメラ、バーチャルリアリティなどを含む拡張現実などを利用すると便宜性が高まる。例えば特別な設定なくカメラシャッターを押せばフォンが自動的に人物を鮮明にしたり光や色感を調節して撮影する。現在も最適モードを設定する人工知能機能があるが、写真撮影前に別に人工知能撮影モードを設定しなければならない。

３次元（３Ｄ）ソニックセンサーが搭載され、指紋認識が容易になる。例えば指紋認識センサーでなく、画面を押すだけでも指紋を認識する。

バッテリー効率・音声・音響など性能も向上した。音声認識機能が強化され、話すと同時に翻訳してテキストに変えたり、通話中に雑音を除去して通話の品質を高める。バッテリーは１５分間で５０％充電（放電状態基準）でき、グラフィック処理速度も２０％向上し、高画質グラフィックで途切れることなく持続して利用できる。クアルコムのアレックス・カトウジアン上級副社長は「以前の製品（Ｓｎａｐｄｒａｇｏｎ８４５）に比べて性能は３倍、他社の７ナノ工程チップセットより２倍ほど優れている」と説明した。

サムスン電子はこの日、Ｓｎａｐｄｒａｇｏｎ８５５を搭載した５Ｇスマートフォン試作品を公開した。来年３月にスペイン・バルセロナで開催される「ＭＷＣ２０１９」で本商品を発表する予定だ。

またサムスン電子はＳｎａｐｄｒａｇｏｎ８５５の生産を引き受ける。サムスン電子はメモリー半導体世界１位企業であり、半導体を委託生産するファウンドリー企業だ。ファウンドリーはクアルコムのように半導体の設計をするファブレス企業の注文に基づいて製品を生産する。クアルコムはＳｎａｐｄｒａｇｏｎ８５５の生産を世界１位のファウンドリー台湾ＴＳＭＣとサムスン電子に任せた。

サムスン電子は２０１１年から独自のＡＰのエクシノスを生産し、ギャラクシーシリーズに搭載している。例えば「ギャラクシーＳ９」の米国向け製品にはＳｎａｐｄｒａｇｏｎを、韓国・欧州向け製品にはエクシノスを搭載する形だ。すでに１１月にＳｎａｐｄｒａｇｏｎ８５５と似た水準の「エクシノス９（９８２０）」を発表した。ＡＰだけをみるとクアルコムとサムスン電子はライバル関係だが、半導体領域では協力関係ということだ。