孫会長が夢見るのは風と太陽光があり余っているモンゴル砂漠で電気を作り電力事情が悪い日本の大都市に供給しようという計画だ。モンゴルに吹く風をすべて電力に変えることができれば年間８１００テラワットとなる。日本の年間消費電力の８倍に達する規模だ。彼は自身の夢を実現するために私財を投じて「自然エネルギー財団」という団体まで作った。

孫会長はアジアスーパーグリッドに対して「夢のように聞こえるだろうが十分に実現させられる計画」と断言した。彼がこのように大言壮語する理由はこの計画が技術上何の問題がないということがすでに明らかになったためだ。彼は「欧州ではかなり以前から海底ケーブルを敷いて電気をやりとりするスーパーグリッド網が稼動してきた」と説明した。

孫会長がこの計画に格別の関心を持つのは、日本の現在の状況と無関係ではない。昨年３月に発生した東日本大震災以後、日本社会は原子力発電所を拒否し新しい再生可能エネルギー開発に専念している。このため日本ではモンゴルから無公害エネルギーを持ってこようという構想がいつになく魅力的に聞こえるのだ。

もちろんこの夢が実現されるには多くの難関を突破しなければ。日本が最も懸念しているのは中国と韓国を経由して電気を引き込まなければならないという事実だ。このためもしもこれらの国と紛争が起きればこれらの国で電気を止めることもありうるということだ。

しかしスーパーグリッド支持者は中国と韓国を通じるラインのほかにロシアのウラジオストクから北海道を結ぶ別の電力網を確保することによって危険を分散させることができると主張する。

一部専門家は科学的理由を挙げ懐疑的な反応を見せたりもする。韓国のある外交官は「高圧電力網を利用するといってもあまりにも遠い距離を移動すれば莫大な電力損失が発生する」と指摘した。

それでも、「この計画が持つ莫大な魅力おかげでますます多くの人々が関心を注いでいる」とソフトバンク関係者は明らかにした。


「モンゴルの風力電気をソウル・東京で使う」孫正義の偉大な夢（１）