【コラム】スルタンの夢、安倍首相の夢?
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2013.11.04 15:07
#アガサ・クリスティが書いた小説『オリエント急行殺人事件』の舞台背景になったオリエント特急列車は、パリを出発してローザンヌ、ヴェネツィア、ベオグラード、ソフィアを経てイスタンブールに到着する。だがもう一歩出たくても進むことができなかった。海が遮っていたからだ。ボスポラス海峡がそれだ。この海峡は黒海とマルマラ海をつなぐ狭くて長い海で、イスタンブールを東西に分け、東側はアジア、西側は欧州になる。先日まさにこのボスポラス海峡の下に、アジアとヨーロッパ大陸をつなぐ海底トンネルがつくられ、このトンネルを通る海底鉄道マルマライ線が開通した。
#ところで先月29日(トルコ時間)の開通式に日本の安倍晋三首相の姿が見えた。彼がなぜそこにいたのだろうか?もともとボスポラス海峡を横切るマルマライ海底トンネルを貫通させようと初めて提起した人は、スルタンのアブデュルメジト1世(1839~1861年在位)であった。彼は150年余り前の1860年、オスマン帝国の再生と復活を夢見て欧州とアジア大陸をつなぐ海底トンネルをつくる野心に満ちた構想を持ち出した。だが、資本と技術いずれも不足して実行に移せなかった。ところがそのスルタンの夢をかなえさせたのが他でもない日本の資本と技術だった。2004年、トルコと日本はコンソーシアムを形成して「マルマライプロジェクト」という名のもとで海底トンネルの建設に入った。そして9年ぶりに完成を見たのだ。日本は長年にわたる海底トンネル建設の歴史を持っている。すでに1944年に本州と九州をつなぐ関門海底トンネル(総延長3.6キロメートル)を掘った。それだけでなく88年には四半世紀に及ぶ大工事の末、本州と北海道を連結する青函海底トンネルを貫通させた。そして94年に開通した英仏海峡トンネル建設の時も日本の技術者が大勢関与した。