1990年代、日本大衆音楽界を独り占めにした歌手、安室奈美恵が最近、来韓コンサートを行った。
「名不虚伝」ともいえる舞台だった。 世界2位の音楽市場を10年間動かしてきたというのは、やはり並大抵のことではないと実感した。 あの歌とダンス、カリスマ性とエネルギーを、1人のミュージシャンが持ち得る原動力はどこにあるのだろうか。 単に才能や努力だけで可能になるわけではなかろう。 私は安室奈美恵に象徴される日本大衆音楽の力は、深くて広い「受容の歴史」から始まったと考えている。
アジア諸国で唯一、ビートルズがコンサートを行った国。 ジャズをはじめ、数々のジャンルでは世界最高の市場を誇った国。 特有の「オタク」文化で、いかなる音楽でも、まず入ってくれば、流行した後消え去るのではなく、蓄積される国。 こうした特徴が、日本の大衆音楽を発展させてきた力ではないだろうか。