【時視各角】「ミンスキー・モーメント」 中国より先に韓国にくる
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.10.27 14:55
「不吉な予言者」ハイマン・ミンスキーはバークレー大教授だった1950年代、「米国経済に金融崩壊の危険が近づく」というメッセージを絶えず送った。彼は金融崩壊を金融の不確実性が持つ宿命と考えた。しかし彼の主張はそれほど支持を得ることができなかった。主流経済学者が背を向けたミンスキーのメッセージは「荒野の絶叫」に終わった。
その彼を墓から呼び出したのが米国の人気経済学者ポール・クルーグマンだ。2009年にクルーグマンは「ミンスキーを新たに読む夜」という講演をした。負債が負債を呼ぶ「負債デフレ」で2008年に米国経済が破局的な危機を迎えた直後だった。当時、サンフランシスコ連邦準備銀行総裁だったジャネット・イエレン氏が「ミンスキー崩壊」をテーマに講演し、ベン・バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長も「ミンスキーの再発見」を語った。突然、ミンスキーは有名になり、「金融が経済を破局へ追い込む時点」をいう「ミンスキー・モーメント(Minsky Moment)」は金融・経済学の流行語になった。
そのミンスキー・モーメントが最近また話題になっている。中国人民銀行の周小川総裁は先週、「中国の負債が急激に増えている」とし「ミンスキー・モーメントを招く可能性がある」と懸念を表した。中国の家計負債は2012年の16兆元(約2730兆ウォン)から昨年は33兆元(約5630兆ウォン)へと倍増した。しかし韓国に比べると「雀の涙」だ。国内総生産(GDP)に対する負債比率は44.3%と、韓国の半分にもならない。ミンスキー・モーメントは中国よりも先に韓国にくる可能性が高い。