私は１９歳の時、「人生５０年計画」を立てた。 「事業で名前を知らせる」という２０歳代の目標は達成した。 ３０歳代の計画は「１０００億、２０００億円単位の資金を集める」だった。 満３６歳だった１９９４年、株式公開でその種をまいた。 残り４年間は完成を眺めた。

ちょうどインターネット時代が訪れていた。 暴風の中を前進するには「地図」と「羅針盤」が必要だった。 私は世界情報技術（ＩＴ）情報の道に進むことを決めた。 アジア人が一度も足を踏み入れていない道を切り開くことにした。 株式公開で集まった資金は２０００億円だった。

その前からマイクロソフト（ＭＳ）、シスコなどシリコンバレー企業とともに仕事をし、米国市場を眺めていたところだった。 私は３０歳代の勝負をそこですることにした。 １年間のうち８－９カ月は米国で過ごした。 目標はすでに決めていた。 世界最大ＩＴ展示会のコムデックス、そして世界最大ＩＴメディアグループのジフデービスの買収だった。

コムデックス買収を初めて決心したのは９３年秋だった。 米ラスベガスで開催されるコムデックスショーに行ったところ、オーナーのアデルソン会長が会社を売却するという話を聞いた。 私は直ちに会長室を訪れた。 要点を述べ、「コムデックスを買う」と言った。 「資金はあるか」という質問が返ってきた。

「今はありません。 しかしわが社の名前は‘バンク（ｂａｎｋ、銀行）’です。 大金が入ってくるような気がしませんか」。

こう答えると、アデルソン会長は大笑いした。 私は「コムデックスを買収するのは単にお金を稼ぎたいからではない。 私はＰＣ業界を本当に愛している。 会社を買収して、米国だけでなく世界市場を開拓する」と熱弁した。 アデルソン会長と心が通じたことを感じた。


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