金総書記は健在ぶりアピール、オバマ大統領は自国民を救出(1)
ビル・クリントン元米大統領の電撃的な訪朝で、朝米間の構図を変えられるビック・ディールはなかったものとみられる。
米ホワイトハウスと国務省いずれもクリントン氏の訪朝を「個人としての活動(private mission)」とあえて強調するのも、こうした理由からだ。それでも北朝鮮と米国はそれぞれ実利をとったものと評価されている。互いに「ウィン・ウィン」したということだ。5日、米紙ニューズウィークなど各メディアは、クリントン氏の訪朝を評価する記事を先を争って掲載した。これらメディアはひとまず、北朝鮮が、世界に同国と金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の存在感を改めてアピールすることに成功したと評価した。
◇北朝鮮が得たもの=「個人として」とはいうもののクリントン氏の政治的意味合いから、クリントン・金正日両氏の会談は、北朝鮮が求めてきた朝北交渉の格好となった。北朝鮮の核実験や米国が主導する国連安全保障理事会の制裁で、出口が見えなくなっていた朝米の対決モードが、北朝鮮が待ち望んだ対話モードに変わることになったのだ。北朝鮮の各メディアが「朝米間の懸案が真摯な雰囲気の中、虚心坦懐かつ深く協議された」と強調したのも、これと関係なくない。