ワールドカップ（Ｗ杯）期間は１カ月にわたる。出場選手にはその間、どれほどの禁欲が要求されるのだろうか。

１９９８年のフランスＷ杯当時、ホームチームのフランス選手はセックスに関して大きな不満を抱かなかった。夫人や彼女に宿舎への出入りが許されたからだ。ブルガリア選手も完全に自由な私生活を満喫した。

一方、韓国をはじめ、ベルギー、サウジアラビアの選手には徹底した禁欲生活が課せられた。

当時、韓国体育科学研究院が提出した選手のコンディション調整に関する報告書には、試合開始４８時間前からは徹底した禁欲生活を推奨するという内容が含まれていたのだ。

性行為後の体力回復には２日ほどかかるということだ。性行為時に分泌が促進される男性ホルモンのテストステロンが、筋肉と精神の緊張を過度に弛緩させるという指摘もある。

反面、禁欲がかえって競技力を低下させるという主張もある。つまり「自然な身体的・精神的欲求を封鎖することで発生するストレスがもっと大きな問題になる」ということだ。

普通１回の性行為で消費されるカロリーは４００メートルを全力で疾走する程度にすぎないため、試合の前日に性行為をしたとしても、体力的には大きな負担にはならないとの指摘だ。

双方の主張に共通する部分もある。禁欲と競技力の相関関係は、身体的要因とともに心理的要因が大きく作用し、個人差も大きいため、何が良くて何が悪いかは一概に言えるものではないという点だ。

ヒディンク監督は「これは基本的に選手に任せるべき問題」という立場を示している。日本のトルシエ監督はかつて「試合の前日でなく翌日なら何も言わない」と話したことがある。