南海岸に自活する‘アンジュンベンイ麦’(ナンジェンイ麦)は台風や激しい島風に耐えるため背が低い。 今は輸入小麦に押され、慶尚南道南海郡(キョンサンナムド・ナムヘグン)オドン村一帯で生命を維持している。 この背丈の低い小麦が世界の食糧を支えている。 日本は壬辰倭乱(文禄の役)当時にアンジュンベンイ麦を略奪して持ち帰り、第2次世界大戦直後には日本に進駐したマッカーサー司令部によって米国に渡った。
米国とヨーロッパの小麦は背が高いため風に弱かった。 すぐに倒れて収穫量が減った。米国育種学者ノーマン・ボーローグ博士はアンジュンベンイ麦の子孫に注目した。 そして在来種の麦と交雑した結果、背が低く穂は大きい「ソノラ」を誕生させた。 従来の品種は10ヘクタール当たりの収穫量が300キロを超えなかったが、ソノラは1409キロにもなった。 その後1950年から84年まで世界穀物生産量は250%増加した。 世界人口は25億人から2倍以上に増えたが、飢餓に苦しむ人口比率は35%から19%に低下した。 ボーローグ博士は‘緑の革命’の功労で70年にノーベル平和賞を受けた。
今年4月に訪韓した94歳のボーローグ博士は環境原理主義者に真正面から反論した。「地球には65億人の人々が生きている。今の土地の面積に有機質肥料と有機栽培法だけを使用すれば、40億人分の食糧しか収穫できない。 残り25億人は死ねというのか」。ボーローグ博士は、急進環境団体が貧しい国の農民が遺伝子変形(GMO)種と化学肥料・農薬を使用するのを妨げている、と非難した。 ボーローグ博士は「GMO恐怖を膨らませ、自分も知らない間に数百万人の開発途上国の子どもが飢餓と疾病に苦しむのを放置することが正しいことか」と反問した。