文在寅（ムン・ジェイン）大統領が三池淵（サムジヨン）管弦楽団の玄松月（ヒョン・ソンウォル）団長が率いる北朝鮮芸術団の公演を観覧するだろうか。

玄松月団長が２２日、北朝鮮の芸術団公演に向けた実務点検をして帰ったが、公演の場所や内容、形式などはまだ決まっていない。ソウルと江陵（カンヌン）で一回ずつ開かれる予定で、北朝鮮側が民謡と世界名曲などの公演をするといった程度が知られている。

チケットは販売しないことにしただけに公演の招請範囲も関心だ。文化体育観光部は公演場所と公演内容など細部の内容が決まれば、招待対象に対する具体的な話を進めるという方針だ。

文大統領が観覧するかどうかが注目されるのは誰より平昌（ピョンチャン）オリンピック（五輪）を平和五輪として成功裏に開催したいという意志が強いためだ。文大統領が公演を観覧すれば平和五輪の象徴性が一層注目されることができる。だが、北朝鮮公演団の内容によって文大統領の観覧をめぐる論争が巻き起こる可能性もある。

過去６度にわたる北朝鮮芸術団の訪韓公演で大統領ではないが大統領秘書室長や与野党党代表などが参加した事例がある。北朝鮮芸術団の初公演は１９８５年９月、第１回南北離散家族故郷訪問を契機に獎忠洞（チャンチュンドン）国立劇場で開かれた平壌（ピョンヤン）芸術団の公演だ。当時は韓国側の文化芸術家らが主に参加した。引き続き、１９９０年１２月に平壌民族音楽団が５泊６日間ソウルで滞在しながら芸術の殿堂と国立劇場で開かれた送年統一伝統音楽会に参加した。当時、公演に先立ち、李御寧（イ・オリョン）元文化部長官がこのために歓迎晩餐会を主催した。

北朝鮮芸術団が３度もソウルを訪ねた２０００年には政界の参加がさらに活発だった。同年６月、平壌で開かれた初めての南北首脳会談を前後に南北対話の雰囲気が高まっていた時だ。同年５月、平壌学生少年芸術団が芸術の殿堂オペラ劇場で公演することに先立ち、当時パク・ジェギュ元統一部長官と朴智元（パク・ジウォン）元文化観光部長官の歓迎晩餐会が開かれた。１カ月後、蚕室（チャムシル）室内体育館で開かれた平壌巧芸団の公演では一般人を対象に入場券を販売して障害者、親のいない子供、故郷に帰れない人々、旧日本軍慰安婦被害者などが無料招請された。

同年８月、南北交響楽団の合同公演に向けてソウルを訪問した北朝鮮の朝鮮国立交響楽団の公演は当時野党代表が観覧した。当時、ハンナラ党の李会昌（イ・フェチャン）総裁に南北和解の雰囲気を適切に活用しなければならないという助言を受けて観覧に出た。北朝鮮芸術団が最後に公演したのは２００２年８月、ソウルで開かれた８・１５民族統一大会の時だ。当時、三成洞（サムソンドン）ＣＯＥＸで開かれた万寿台（マンスデ）芸術団、血の海（ピバダ）歌劇団、平壌芸術団所属歌手と俳優の公演に当時朴智元元大統領秘書室長、韓和甲（ハン・ファカプ）民主党代表、キム・ジョンギル元法務部長官などが参加した。

青瓦台関係者は文大統領が出席するかどうかをめぐって２３日「現在では出席に関する議論は行われていない」とし「大統領の出席に関する方針はない」と話した。こうした中で平昌五輪を「平和五輪」にできれば、文大統領が観覧席に座るのも大きな問題にならないだろうという雰囲気も垣間見られる。だが、文大統領が金正恩（キム・ジョンウン）委員長の「音楽統治」の先頭に立っている牡丹峰（モランボン）楽団の団員が参加する可能性が大きい公演を見ることに対して否定的見方もある。特に、今回の公演を主導する玄松月団長が北朝鮮労働党の思想を指導して伝播する労働党宣伝煽動部幹部（副部長）という点も負担だ。政府関係者は「北朝鮮芸術団の公演レパートリーなど細部の項目が決まれば、文大統領が出席するかどうかも輪郭が見えるのではないか」と話した。

北朝鮮では金正日（キム・ジョンイル）総書記が韓国側の歌手の公演を観覧したことがある。韓国歌手としては初めて２００１年と２００２年に北朝鮮の公演舞台に上がったキム・ヨンジャさんだ。２００１年、平壌で開かれた「第１９回４月の春親善芸術祝典」の舞台当時、金委員長が予告なしに公演会場を訪れて話題になった。