オリンピック(五輪)発祥地のギリシャが2004年、21世紀最初の夏季五輪を開催しながら困った種目は野球だった。 当時も今もギリシャは野球の不毛地といっても過言ではないからだ。 国際規格の専用競技場を新築したまではよかったが、テレビ中継や競技場管理などのノウハウが全くなかった。 入場券の販売が振るわない点はまだ耐えることができた。 巨額を投じた新しい競技場が、わずか五輪32試合を行った後には無用の長物になるという痛みに比べればのことだ。開催国資格で自動出場権を得たギリシャは、代表チームの選抜から困難に直面した。 国内選手層が薄く、レベルが落ち、米国に居住するギリシャ系選手を緊急輸血したが、成績は8チーム中、イタリアとともに最下位となった。
それから3年後、五輪種目を再調整する国際オリンピック委員会(IOC)の表決で、野球とソフトボールは北京五輪を最後に‘除外’が決定した。 実際、およそ200のIOC加盟国のうち野球競技が盛んに行われている国は20カ国余りしかない。 それも米国・カナダ・カリブ海沿岸などの北中米と韓国・日本・台湾などの東アジアに片寄っている。 米国式資本主義を代表するスポーツであるため拒否感が強いという説明もあるが、反米国家のキューバが野球に夢中になるのを見ると、必ずしもそうではないようだ。
とにかくIOCで最も力が強くて票数も多いヨーロッパ国家は野球にさっぱり関心がない。 あたかも韓国の男性が軍隊時代のサッカーの話をするのを女性が嫌がるようにだ。 2012年の開催国の英国も、野球の親戚分にあたるクリケットを楽しむが、きちんとした正式な野球場施設がないのはギリシャと同じだ。