【時視各角】「狂人はお前だお前~」…トランプVS金正恩
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.09.26 14:36
1974年8月9日。「ウォーターゲート事件」で辞意を表明したニクソン大統領はホワイトハウスの庭園に待機中だった「マリーンワン」(大統領専用ヘリコプター)のタラップをのぼった。カリフォルニアの自宅に帰る前だった。見送りに来た約300人のホワイトハウスの職員、閣僚に向かって両腕を高く上げて勝利の「V」の字を描いて見せた。大統領職終了までわずか2時間。この姿を見守りながら最も胸をなで下ろしたのはシュレジンジャー国防長官だった。ニクソン大統領の後ろに「フットボール(核コードが入ったブリーフケース)将校」が見えなかったからだ。シュレジンジャー長官はそれでも安心できなかったのか、全軍主要指揮官に緊急命令を出した。「もしニクソン大統領が核発射を命令すれば私または国務長官(キッシンジャー)に必ず確認しなさい」。退任を控えて酒に溺れていた「狂人」ニクソン大統領が最後の瞬間に何をするのか緊張を緩めることができなかったのだ。実際、ニクソン大統領はその頃、ヘイグ秘書室長に「フットボールを持ってこい。議事堂にそれ(核爆弾)を落としてみようか」という発言をし、周囲を驚かせた。
43年前のシュレジンジャー国防長官の心情がまさに今のマティス国防長官の心情と同じではないだろうか。最初は戦略的に「狂人」のふりをするようだったトランプ大統領の最近の言動をみると、本当に事件を起こすのではと思う時がある。突発的なツイッターや記者との問答でもなく準備された国連総会の演説で「北朝鮮を完全に破壊する」という発言をした。ニクソン大統領は酒に酔っていたとして、トランプ大統領は素面だからもっと恐ろしい。さらに大きな問題は43年前には「狂人」が1人だったが、今は2人という点。1週置きに核実験とミサイル発射をする金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長との「狂人はお前」競争が佳境に入る。