「悲しい」…77年前の孫基禎の悲痛(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2013.08.08 10:37
記念館には孫基禎の生涯が圧縮されている。空腹を忘れるために鴨緑江の鉄橋の上を走った幼時期、国を奪われ五輪初優勝の喜びまで奪われた若き日、1988年ソウル五輪の聖火ランナーを務め、92年バルセロナ五輪で黄永祚(ファン・ヨンジョ)の“モンジュイック神話”に感激した老年期の話が整理されている。
韓国人で初めて五輪優勝を果たしながらも敗残兵のようにうなだれていた孫基禎の表情は、説明の必要がない生きた歴史教育だ。「悲しい」という3文字だけを書いてベルリンから韓国の知人に送った孫基禎のハガキは、当時の彼の心をそのまま表している。
優勝した後、日本選手団が準備した祝勝会の代わりに、ベルリンに居住するアン・ボングン氏(安重根の親戚)の家に行き、生まれて初めて太極旗を見て戦慄したというエピソードもある。ベルリン五輪を終えて汝矣島空港に帰国した直後、警察に囚人のように連れられていく写真も印象的だ。