彼の名前には‘山’という境界がある。 韓国では秋成勲(チュ・ソンフン)と、日本では秋山成勲と呼ばれる。 ‘山’は33歳の男、秋成勲を2つに分けた。 どこにも根を下ろすことのできない運命だ。 日本で‘在日’と呼ばれる在日同胞は、差別から自分を守るためによく国籍を隠す。 秋成勲は国籍を変える過程で周囲が騒がしく、また運もなかったため、日本で‘公敵’として認識されることになった。 ‘悲運の柔道スター’という言葉は時間が経つほど痛々しく聞こえてくる。 異種格闘技K-1のリングに立つ秋成勲の柔道着の右腕には太極旗(テグッキ、韓国の国旗)が、左腕には日章旗が付いている。 しかし彼は日本国籍を持った韓国人にも、韓国の血が流れる日本人にもならなかった。