【寄稿】正義よりも法治が優先だ=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.02.15 15:55
チョン・ユラ支援に関連した単純贈収賄罪の場合も同様だ。筆者は特検の主張のように、サムスンが昨年10月にドイツ現地の馬仲介商を通じてチョン・ユラに30億ウォン(約3億円)程度の名馬「ウラジミール」を追加で購入したかどうかは知り得ない。ただし、明らかなのは、特検が朴槿恵(パク・クネ)大統領と崔順実(チェ・スンシル)の関係に対して「経済共同体論」や「共同財布論」など、法律専門家である筆者さえ見たことも聞いたこともない新しい法理論で企業家を圧迫するのは明らかな誤りだ。
百歩譲って朴大統領と崔順実が経済共同体だったとしても、企業家がこれを知ることはできない限り、贈収賄罪の故意はないのではないか。何より、特検が前回とは違って、李在鎔副会長だけでなく朴商鎮(パク・サンジン)サムスン電子社長に対して令状を請求したことは強制捜査権の乱用だ。前回は令状を請求しなかったサムスン役員を対象に、特別な事情変更はなかったにもかかわらず令状を請求したことは、朴大統領の賄賂授受容疑の立証を狙った見せ掛けの手ではないのかという疑問さえ感じる。賄賂供与容疑を受ける李副会長と朴社長、2人のうち1人の令状でも発給されれば、朴大統領の贈収賄罪立証がやりやすくなるためだ。
拘束でも家宅捜索でも、すべての強制捜査は刑事司法において不可欠な制度ではあるが、個人基本権侵害を伴う必要悪であるから最低範囲内で行使されなければならない。また、拘束イコール有罪で、不拘束は無罪という等式が成立しない以上、拘束に執着する理由もない。捜査手続き上の正当性に関連し、違法収集証拠という問題も提起される。特検が令状再請求の主たる証拠としているのは、青瓦台に保管されていた安鍾範(アン・ジョンボム)前大統領府経済首席の手帳39冊だ。特検は安被告の補佐官が保管していて提出したものと説明した。しかし、万一補佐官が当事者の許諾なしに任意提出したとすれば窃盗あるいは横領にあたる重大犯罪だ。