最近試乗した新型Ｓクラスは同乗者中心の車の代名詞にふさわしかった。後部座席の快適さはジェネシスを上回った。この車はジェネシスとは違い、背もたれ自体が後ろに倒れる構造だ。デラックス高速バスと航空機のビジネスクラス座席が結びついた感じだ。角度も最大４３．５度に達する。助手席が７センチ前に動くため、後部座席の空間はさらに広くなる。６種類の多様な電動マッサージ機能も体験できる。身体部位の隅々が柔らかく刺激されたが、マッサージの強度はそれほど強くはなかった。エアバッグのように膨らんで搭乗者を保護する安全ベルト、ひじ掛けの熱線など最新安全・便宜仕様もＳクラスの差別化ポイントだ。

それでも運転の楽しさが落ちるわけではない。４５５馬力、７１ｋｇ・ｍの４６００ｃｃガソリンエンジンが搭載され、走行性能は卓越している。加速力があまりにもよいため、試乗中に速度感を認知できず、速度違反監視カメラに摘発される“惨事”が発生したりもした。走行感も優れていた。急加速をしても騒音や振動なく滑らかに車が進んだ。カメラを利用して道路の路面状態をあらかじめ確認した後、サスペンションの高さを自動調節する「マジックボディコントロール」装置が流麗な乗車感を生み出すのに大きな役割をしたようだ。車自体には特に短所を探せなかった。問題はやはり価格だ。Ｓクラスは価格帯が１億２９９０万－２億２２００万ウォンにのぼる。試乗車のＳ５００ロングモデルはジェネシス３－４台分の１億９７００万ウォン（約２０００万円）。余力がある顧客層には特に問題ではないかもしれないが、手が出にくい価格帯であるのは確かだ。

試乗を終えた後、ジェネシスに「普及型Ｓクラス」の役割を期待しても無理はないと感じた。しかし誰かが「Ｓクラスの代替財はない」と抗議するなら反論はしない。資金余力が十分にあるという前提の下、それも間違っていない主張だからだ。


現代ジェネシス、ドイツ車に劣らない安定感…ベンツＳクラスと比較（１）