ヒラリー・クリントン元国務長官は民主党大統領選候補に指名された直後、ツイッターに「歴史（Ｈｉｓｔｏｒｙ）」という単語だけを上げた。２４０年の米国史上、主要政党から初めての女性大統領選候補になった感動と意味を含蓄的に表現したのだ。

しかしクリントン氏が本戦で共和党のドナルド・トランプ氏を破り米国初の女性大統領に上がるという、より大きな歴史を刻むまでには侮れない課題が残っている。まず民主党内部の団結と結束だ。クリントン氏に対するバーニー・サンダース上院議員の度重なる表明にもかかわらずサンダース支持者の怒りはおさまらない。

ウォールストリートジャーナル（ＷＳＪ）はこのような状況を「壊れやすいデタント（和解）」と描写した。ＣＮＮの調査で民主党予備選挙の参加者の４５％はサンダース氏が候補に指名されるよう願っていたことが分かった。ニューヨークタイムズ（ＮＹＴ）は「クリントン氏とサンダース氏の政策の差は２００８年のオバマ氏とクリントン氏の差よりもはるかに大きい」と分析した。クリントン氏は「共にしてこそさらに強い（Ｓｔｒｏｎｇｅｒ　Ｔｏｇｅｔｈｅｒ）」を大統領選挙スローガンとして団結を訴えているが、サンダース氏の支持層が応えるかは未知数だ。

高まるばかりの大衆の非好感をどのようにして克服するかもカギだ。ギャラップの１６～２３日の調査でクリントン氏に対する非好感度は５７％に上昇し、ファーストレディ時代以降で最高値を記録した。好感度は３８％にとどまった。クリントン氏は歴代民主党候補の中で最も否定的なイメージを持つ候補の１人として本戦を始めることになった。伝統的に米国の大統領選挙は中道性向の有権者を誰が多く確保するかによって勝敗が分かれた。民主と共和いずれも地域・人種・世代によって支持基盤が明確なためだ。

結局は雇用とテロからの安全という時代精神の競争で中間地帯の有権者を効果的に攻略する側が大統領選挙を掌握すると展望されている。「国境障壁の建設」「ムスリム入国禁止」などトランプ氏の刺激的なキャンペーンをどうやって無力化させるかがクリントン氏の悩みになるものとみられる。