歴史上最も有名な放火犯はギリシャのヘロストラトスだ。 彼は紀元前356年10月、古代の世界7不思議の一つに挙げられるアルテミス神殿を燃やした。 神殿は、トルコ西部のエーゲ海岸にあるギリシャ植民地エフェソスにあった。 紀元前6世紀中葉から建設を始め、120年後に完工した。 127本の白い大理石の柱を立てた高さ20メートルの神殿は、パルテノン神殿の2倍の規模であるうえ、壮大かつ美しさが際立った。 放火犯はすぐ捕まり、神聖冒涜罪で処刑される前、なぜ犯行に及んだのかという尋問を受けた。 犯人は「どうせ悪いことをするのなら、後世に永遠に名前が残るような悪行をしようと考えた」と答えた。 これを受け、彼の名前が書かれたすべての記録物を抹消し、彼の名前を口にするなという命令が下された。 だが、彼の望みはかなった。 2000年が過ぎた今でも名前が伝えられているのだから。