国事に対するストレスが過重なのか、政治家の中にはアルコール中毒の疑わしい酒飲みが多かった。イギリスの名宰相ウィンストン・チャーチルが代表的だ。彼の娘が「父さんのカクテル」と名付けた水割ウイスキーを1日中ちびちび飲んだ。お昼と夜の食事のときに飲む酒としてシャンペン1本は基本、夜食にブランデー1クォート(約1リットル)を軽く飲み干した。周囲でちょっと減らせと言っても「酒は飲み物なのに何を」と言いながら聞いたような聞かないような振りをした。それでも彼がお酒で何かしでかしたという記録はあまりない。「他人の前に酔った姿をお見せするほど情けないことはないというしつけを受けた」というので、それなりに酒量を守って飲んだのがそれ程度であるようだ。
しかし誰もがチャーチルのように節酒(?)を実践したわけではない。第2次世界大戦当時、連合国のリーダー3人のうちの残り2人を見てもそうだ。ヨシフ・スターリンソ連共産党書記長とフランクリン・ルーズベルト米国大統領は、たびたびお酒を飲みすぎるため、ベッドに運ばれたりした。その渦中にもスターリンは部下たちを杖でむやみに殴り「お前らが私の酒を盗んで飲んだのか」と罵声を浴びせたというから並大抵ではない。