歴史学者フィリップ・アリエスによれば「子供」という概念は17世紀以後にできた(『子供の誕生 』)。中世まで子供は縮小した大人にすぎなかった。乳離れするや大人と一緒に生活しながら働いた。子供たちだけ別に学校で長く教育受ける事もなかった。特別に保護されなければならない大事な存在という概念もなかった。乳飲み子の殺害も頻繁で、ルソーさえも自分の5人の子供を皆、保育施設に預けたほどだ。
アリエスによれば子供の誕生はすなわち近代的家族の誕生につながった。18世紀貴族と上層ブルジョアを中心に愛する夫と妻、かわいい子供たちで成り立った近代的・家父長的家族が登場した。“近代の勝者は個人ではなく家族”という結論だ。彼はまた、今日の心理学、教育学などが当然視する乳児、子供、青少年、成年、老年期につながる生涯周期も歴史的構成物であるということを悟らせた。