【社説】リビア拉致勤労者の救出に全力を尽くせよ=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.08.03 10:36
先月、リビアで韓国人勤労者が現地武装団体に拉致されて29日間抑留中である事実が一歩遅れて報じられた。韓国のメディアはこれをすでに知っていたが、当局の要請により報道を自制してきたという。拉致事実が大きく扱われれば、犯人が身代金を一気に上げる可能性があるためだ。いくら迅速な報道が命といわれるメディアでも避けられなかっただろう。
われわれには拉致に関連した苦い記憶が生々しく残っている。2004年、イラクで拉致された金鮮一(キム・ ソンイル)さん殺害事件は大きな傷を残した。2007年、アフガニスタンで起きたセンムル教会拉致事件の時は23人が抑留されて巨額を与えることで21人が解放されたが、2人は犠牲になった。この年からはアフリカ海域で海賊による韓国船員拉致事件が列をなした。その都度、政府は右往左往したせいでお金は使いながらも罪のない命を失うことを自ら招いた。金鮮一さんの場合、会社側と拉致犯の間の交渉が進められていたが、政府がイラク派兵を発表して彼を死地に追い込んだ格好になった。センムル教会事件の時は2人が犠牲になった後に拉致犯との対面交渉を始め、結局はお金で事態を解決した。韓国政府は拉致犯らと交渉して身代金まで与えるという先例を万国に知らせたわけだ。
拉致事件をどのように扱うかはきわめて微妙な問題だ。特に、釈放のために身代金を与えるのが正しいかは先進国の間にも立場が分かれるほど、激しい論議の的となっている。巨額の身代金を与えれば同じ人質事件をそそのかすのが目に見えるためだ。