米国大統領が議会との協議もなく目標も明らかでない状態で北朝鮮の指導者との首脳会談開催に合意すると予想した専門家はいなかった。実際に実現するという保証がない状態でもある。そのような状況でも今後の展開を予想してみると次の通りだ。

シナリオ１＝トランプ大統領と金正恩（キム・ジョンウン）労働党委員長が実際に会うことはない（可能性４０％）。トランプ大統領は劇的という状況の演出が好きだ。彼はプロレスの試合やＴＶリアリティーショー、美人大会などで誇張されたアクションを見せた。しかし首脳会談計画はトランプ大統領のラインで終わる未完のドラマになる可能性がある。国家安全保障チームは大統領の指示事項を忠実に履行するだろうが、関係者は個別に会談に留保する態度を示す可能性がある。

ペンス副大統領は北朝鮮が核兵器開発を中断する具体的な段階にいたるまで最大限の圧力と制裁を続けると繰り返し明らかにした。専門家らは北朝鮮が核放棄を目的とした対話に出てきたことはないとして懸念を表している。首脳会談の結果が前向きなものであっても、トランプ大統領の在任期間に北朝鮮が密かに核実験を再開することが考えられる。その場合、米国の大統領が恥をかくということだ。トランプ大統領が世界最悪の人権弾圧責任者と向き合ったという事実だけでも保守層の有権者が一斉に離脱するかもしれないと共和党は警告するだろう。

トランプ大統領は米国とメキシコの間に巨大な障壁を建設し、その費用をメキシコに要求すると公約した。しかし障壁は縮小され、米国国民の税金が投入される。マクロン仏大統領の招請でフランス革命記念日の行事に出席したトランプ大統領は米国もタンクと戦闘機を動員した大規模な軍事パレードを開催すると約束した。しかし国防総省はパレードの規模を大幅に縮小した。トランプ大統領は鉄鋼とアルミに高率関税を賦課する措置を実行に移したが、その後、米国政府は製造業者と同盟国の被害を懸念して免除対象国を増やしている。金正恩委員長との会談問題も似た展開になる可能性がある。安保分野の実務陣は非常に慎重な態度を見せている。

シナリオ２＝トランプ大統領と金正恩委員長が会うが、大きな成果はない（可能性４０％）。事業家としてトランプ大統領はカジノ事業と不動産事業に果敢で老練な姿を見せた。投資に失敗する場合、責任の対象もうまく探した。北朝鮮に非核化の意志がないことをトランプ大統領も知ることになるだろう。米国政府もすでに完全かつ検証可能で不可逆的な非核化（ＣＶＩＤ）が実現するまで制裁を緩和しないと明らかにした。トランプ大統領はリスクを負って金委員長との会談を推進するだろう。会談が失敗する場合、強硬路線に戻ればよいからだ。対話が続いても北朝鮮は徐々に内心を表すはずだ。その場合、対話トラックは押し出されて制裁と圧力がまた前面に登場することになる。


【グローバルフォーカス】トランプ－金正恩会談の４つのシナリオ（２）