劇場国家・北朝鮮…「血の海」演劇は今こそ幕を下ろすべき(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.11.22 15:13
金正恩の暴走はここで終わらなかった。粛清と降格が常となり、まるでジェットコースターに乗っているような雰囲気が漂った。金正恩は27歳で「戴冠式」を行った自身を、老練な幹部がまだ子どもだと見下しているに違いないという気持ちにとらわれたようだ。人民武力部長の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)が会議中に居眠りをしていたという理由で処刑されると、軍最高位幹部の脳裏には「居眠りすれば本当に死ぬ」という言葉が刻み込まれた。最前方哨兵と同じような身分に落ちたのだ。金正恩の指示をメモしないでボーッとしていれば「首領冒とく」で断罪受けるのがオチだった。「適する者だけが生き残る」という北朝鮮版「適者生存」がこの時に登場した。
暴圧的リーダーシップの結晶体は張成沢処刑事件だ。金正日が末の息子を後継者に指名して後見人とみなした叔母の夫を金正恩自ら手にかけたのだ。「親戚も無惨に殺すのに私のような存在は…」という考えは北朝鮮権力の核心層を恐怖に震えさせた。業務上のミスで解任されるというような水準ではなく、処刑と共に家族も政治犯収容所や山奥に追放される状況は悪夢そのものだ。
金正恩の暴政は国境を越えて国際公安秩序まで及ぶ状況になった。ことし2月、マレーシアのクアラルンプール空港で異母兄の金正男(キム・ジョンナム)を殺害したのが代表的だ。身を隠している息子ハンソル氏まで除去しようとしている。手段と方法を選ばず完遂してこそはじめて終わる命令を意味する「スタンディング・オーダー(standing order)」が下されたと言える。いわゆる白頭(ペクトゥ)血統の嫡統を継承する金正男に向かった憎しみと呪いに、実兄の金正哲まで震え上がった。後継順位を弟に奪われた金正哲は生存のために「本来の役割ができない私を見守ってくれる、大きな愛を施して下さった」という趣旨の忠誠盟誓文まで書かせたというのが国家情報院の国会情報委報告だ。