文大統領、所得主導成長に続いて財政拡大、次は増税?

文大統領、所得主導成長に続いて財政拡大、次は増税?

2019年05月23日15時45分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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文大統領
  韓国の1-3月期の経済成長率が経済協力開発機構(OECD)22カ国のうち最低となった中、文在寅(ムン・ジェイン)政権が財政支出拡大に目を向けている。米中貿易紛争で輸出の見通しが暗く、最低賃金制引き上げや週52時間勤務制などの余波で内需沈滞までが長期化する中、政府が景気回復に向けて直ちに動員できるカードが財政しかない状況だ。

  特に来年は総選挙があるため、与党は2020年度の予算規模をできるだけ増やそうとしている。初めて500兆ウォン(約46兆円)を超えるスーパー予算になるという見方もある。こうした予算を組むためには政府が債務を増やすしかない。

  これに関連し文在寅大統領は16日の国家財政戦略会議で「財政健全性の基準がGDPに対する国家債務比率40%である根拠は何か。我々は積極財政を展開する余力がある」と述べたことが伝えられ、政治的論争を呼んだ。自由韓国党など野党は「国家債務増大は未来を担保に現在を取って食べる行為」と反発した。

  実際、財政拡大は文在寅政権の核心政策である所得主導成長と哲学を共有するイシューだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団の柳時敏(ユ・シミン)理事長のような与党側の人たちは「庶民の可処分所得を増やして内需を活性化しようというのが所得主導成長であり、これは新ケインズ主義」と話す。有効需要創出のための財政投入という側面で所得主導成長と財政拡大は似ている。

  福祉拡大を追求する文在寅政権の路線上、財政拡大は必然的な帰結だ。最低賃金引き上げ、非正規職の縮小など現政権の主要政策はほとんど財政拡大を基盤とする。予備妥当性調査の免除で社会基盤施設に資金を投入することにしたのも同じ脈絡だ。予算の誤用・乱用を防ぐために事業費500億ウォン以上の事業の実効性を問いただすのが予備妥当性調査だが、文政権は「地方均衡発展を阻害する」として予備妥当性調査免除という過去になかったカードを取り出し、24兆ウォンを支出することにした。

  ただ、財政拡大は世界的な流れでもある。経済学者のウ・ソクフン博士は「世界的に利率自体が低い状態で政策金利を通じた金融政策には限界があるため、財政を拡大しようという議論が活発だ」とし「ただ、カギはどれほど具体的な青写真を持って国民と野党を説得するかという点だが、現政権にはまだこの部分が見えない」と述べた。

  問題はいま政府が債務を増やさなければいけない時期なのか、償還する余裕はあるのかだ。企画財政部によると、2018年38.2%だった国内総生産(GDP)に対する国家債務比率は2019年39.5%→2020年40.3%→20211年41.1%→2022年41.8%と漸増する見通しだ。

  専門家の立場は分かれる。「長期的には国家債務が増えれば信頼度が落ちるが、今年は景気のハードランディングが懸念される状況であり拡張財政が必要」(延世大キム・ジョンシク教授)という主張と、「わが国は国家予算が470兆ウォン程度だが、これでも足りないというのは何をどうしようということなのか。民間の経済活力に注力する時であり、現金をばらまく時ではない」(チョ・ドングン明知大経済学科名誉教授)という主張が衝突している。

  もちろん政府はまだ韓国の財政健全性は十分だという立場だが、今後速いペースで高齢化が進むことを勘案すると政府はこれに備えるべきだという意見も多い。

  実際、歴代政府でも財政拡大はいつも論争を呼んだ。特に財政拡大を好む進歩政権で論争が激しかった。盧武鉉大統領は2006年の新年の演説で「二極化解消のために財政拡大が必要だ」と述べたが、当時の朴槿恵(パク・クネ)ハンナラ党代表は「むしろ減税政策をすべき」と述べ、論争に火がついた。

  その朴槿恵政権も基礎老齢年金の導入などで財政拡張基調を継続した。2015年9月には当時最大野党だった新政治民主連合の文在寅代表が「朴槿恵政権3年で国の金庫が空っぽになり、GDP比40%にのぼる国家債務を国民と次の政権に押しつけることになった」と批判した。

  財政拡張は増税につながる可能性が高い。ただ、過去3年間は税収が多かったため、税率引き上げの話が出てこなかった。ところが今年は事情が違う。1-3月期の国税が78兆ウォンと、1年前に比べ8000億ウォン減った。

  韓国開発研究院(KDI)は「2019年上半期経済展望」で「国税収入の増加が鈍ると予測される。財政支出を効率化して中長期財政の余力を確保しなければいけない」と警告した。

  税収を増やすには中長期的に成長率を高めたり税率を上げなければいけない。ちょうど与党からは租税負担率を増やすべきだという主張が提起された。民主党の崔運烈(チェ・ウンヨル)議員は文大統領が開いた国家財政戦略会議で「IMF(国際通貨基金)が『租税負担率を高める必要がある』と勧告しただけ我々も積極的に対応すべきだ」と述べた。民主党内では「大企業の法人税を引き上げたり高所得者に対する税率を現実化する必要がある」という声が出始めた。

  ただ、選挙を控えて増税の話をするのは票につながらないため、本格的な増税論争は来年の総選挙以降になるという見方が出ている。
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