韓国国税庁は今年、大企業オーナー一家や高額財産家など富裕層の脱税行為に対する調査をさらに強化していく方針だ。ビッグデータや人工知能（ＡＩ）のような情報技術（ＩＴ）も国税庁の税務調査などに活用される。国税庁は２８日、政府世宗（セジョン）庁舎で全国税務官署長会議を開き、このような内容の「２０１９年国税行政運営方案」を発表した。国税庁はまず大企業やオーナー一家が借名で会社を運営したり協力会社への業務振り分け等を通した経営権の便法継承行為を集中的に点検することにした。大企業が公益法人に拠出した財産を親戚など特殊関係人が私的に利用したり美術品を無料で貸与したりするなど不当内部取引容疑なども集中検証対象だ。巨額の財産を保有した未成年者や多住宅者などに対しても、変則相続・贈与容疑がないかどうか資金出処調査を強化することにした。

租税回避処に設立した幽霊会社や海外現地法人・信託・ファンドなどで秘密資金を作ったり便法贈与する行為にも対応する。グーグル・アップルなど多国籍ＩＴ企業の課税回避行為に対しては、経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）の課税制度改善事項を国内税制にも反映する。多国籍企業が国内の子会社等と原材料・製品などを取り引きする時に決める価格（移転価格）を改ざんし、脱税が発生していないかどうかの検証も強化する。あわせて中小企業を対象に高利貸金業を営む企業型私債業者や名義偽装風俗店、射幸性ゲーム場など庶民生活と密接な分野の脱税容疑も調査を増やすことにした。

国税庁は早ければ今年４月中にも「ビッグデータセンター」を発足させて税源管理と脱税対応などに活用する予定だ。納税情報と税務調査結果間の相関関係をビッグデータを通じて分析すれば脱税が頻繁に発生する企業の特徴を把握することができる。最近増加しているＱＲコード決済、ブログ・ＳＮＳ等の電子的商取引での税金脱漏類型もビッグデータで分析し、ＡＩを活用した脱税危険予測モデルを作って体系的税源拡充方案を用意する。韓昇熙（ハン・スンヒ）国税庁長はこの日の会議で「大企業オーナー一家が会社の資金を私的に利用したり高所得層が海外に隠した資産で豪華・贅沢生活を営むなど租税正義を損なう脱税行為に対して厳正に対応するだろう」と強調した。

税務調査に対する企業の予測の可能性も高める。随時調査を行う不定期調査は減らし、前もって日程を決めた後で調査する定期調査を増やす。雇用創出成果が高い企業や青年創業企業は税務調査を猶予したり除外したりする恩恵措置も実施する計画だ。