ドナルド・トランプ氏が米国の大統領に当選してから国際金融市場の動きは尋常でない。国債金利が高騰し（債券価格下落）、ドルは高止まりしている。原材料価格も合わせて上昇中だ。国際経済の基調がデフレからインフレに変わる兆しが見られる。いずれも韓国経済にはうれしくない流れだ。

１４日に米国の１０年物国債金利は今年最高の年２．２６１４％を記録した。大統領選挙当日と比較して０．４％ほど上昇し、１０月初めより０．７％近く急騰した。３０年物金利は３％を突破した。米国の金利引き上げスピードが速まるという見通しからドルが高騰し、人民元は８年３カ月来の最安値を記録した。鉄鉱石と銅価格は１週間でそれぞれ２３％と８％上昇した。

問題はこうした現象が世界経済回復ではなくトランプ氏当選の波紋という点だ。トランプ氏は孤立主義と保護貿易主義を明らかにしている。オバマ政権が力を入れてきた環太平洋経済連携協定（ＴＰＰ）推進を中断し、北米自由貿易協定（ＮＡＦＴＡ）破棄を公言している。こうした中で金利引き上げと１兆ドル規模のインフラ投資を明らかにし、自国優先主義を明確にしている。世界経済には否定的な影響を与えるほかない。貿易報復が頻繁になり国際貿易が萎縮するだろう。輸出で生きる韓国には悪材に違いない。国内金利もすでに上昇圧力を受けている。年初に２％台だった住宅担保ローン金利が４～５％に高まった。１３００兆ウォン（約１２０兆円）に達する家計負債問題はさらに危うくなった。米国と中国の貿易対立で関係のない韓国が流れ弾に当たる可能性もある。

それでも危機を解決するリーダーシップは失踪状態だ。柳一鎬（ユ・イルホ）副首相と任鍾竜（イム・ジョンリョン）副首相内定者が２週にわたり中途半端な「ひとつ屋根の下で２つの家族」として共存している。大統領下野や弾劾がすべての問題を飲み込み、経済指令塔を立てるのは後回しにされている。崔順実（チェ・スンシル）問題に足を引っ張られたままトランプフレーション（トランプ＋インフレーション）を迎える韓国経済の将来は暗いことこの上ない。