音声通話無料時代を１９９９年と早くから予想していた彼に次の市場トレンドを尋ねた。彼は「次はデータ無料、その後は映像無料時代になるだろう」と予想した。

また、「企業だけでなく都市・国のデジタル化が続き、未来の職業のうち９０％以上が技術を扱う能力を必要とするほど新たな雇用が創出されるだろう」と予想した。企業のリーダーに対する助言も伝えた。「会社をデジタル化せよ。そして組織を再編し仕事の仕方を変えよ。すべての産業でシリコンバレーが近づいている。リーダーが変化に対し恐れを持つなら遅れを取るほかないだろう」。

彼は在任期間に後悔した経営判断も残さず打ち明けた。彼は特にシスコの成長戦略の核心としてきた企業の買収合併（Ｍ＆Ａ）過程で、未来事業進出やシナジー効果よりも「成功回数」にしがみついていたのではないかと残念がった。「私の失敗はいつも似ていた。途轍もない速度でＭ＆Ａをしてきたが、とてもゆっくり動いたり、反対にまともな過程を経ずにとても速く動いた」。シスコは最近まで合計１７８社の企業を買収し新市場に参入した。彼は、「これまで企業を買収するのに躊躇しなかったが、そのうち１０件余りは成功できなかった」と打ち明けた。彼は２００９年に約６億ドルで買収したビデオカメラメーカーのフリップを例に挙げた。消費財市場での経験が１度もなかったシスコは２０１１年にフリップの廃業を決めた。

理事会議長として彼が務めることになるのはシスコの戦略諮問と顧客管理のような対外協力業務になる予定だ。彼は「今後各国政府のリーダーに会い国の革新を助け、スタートアップ企業の成長のために諮問するのに時間を投資するだろう」と話した。チェンバース会長はインスピレーションを吹き込んでくれた尊敬するリーダーとして国レベルのデジタル化を初めて進めたイスラエルのシモン・ペレス前大統領と、情報化時代に雇用創出機会をしっかりと捉えたビル・クリントン元米国大統領を聞いた。


シスコ会長「サムスン、６カ月以内に驚くべき変化を発表するだろう」（１）