「１％の可能性、１％の希望を小さいとは考えない」。サッカー韓国代表のＦＷ孫興民（ソン・フンミン、２６、トッテナム）が国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）ランキング１位のドイツ戦を控えて見せた覚悟だ。

韓国は２７日午後１１時、カザン・アリーナで前大会優勝国のドイツと２０１８ロシアワールドカップ（Ｗ杯）グループリーグ最終第３戦を控えている。韓国はグループリーグ第１戦でスウェーデンに０－１、第２戦でメキシコに１－２で敗れ、２連敗している。ドイツとの第３戦で勝利したうえで、メキシコ－スウェーデン戦の結果まで条件を満たしてこそ決勝トーナメント（１６強）進出が可能だが、可能性は１％と低い。

孫興民は２６日、カザン・アリーナで記者会見し、「ドイツは世界１位であり前大会の優勝チーム」と相手の強さを認めた。そのうえで孫興民は「ボールは丸く、サッカーは１１人ですることだ」とし、最後まであきらめないことを誓った。

「ドイツで長くプレーしたが、ドイツを相手にゴールを決めることを夢見てきたか」という質問を受けた孫興民は「ドイツは世界１位のチームであり前回のＷ杯で優勝している。幼い頃からドイツでプレーして育った。ドイツと対戦することは光栄であり、Ｗ杯という大きな大会で会えてうれしい。しかし結果は常に重要だと考える。夢は良い結果を作り出すための場所」と答えた。

孫興民は２００８年に東北高を中退し、ドイツプロサッカーのハンブルクに入団した。２０１０年にブンデスリーガにデビューした後、２０１３年にはレバークーゼンに移籍し、２シーズンで２９得点を挙げた。２０１５年には移籍料４００億ウォン（約４０億円）でトッテナム（イングランド）に移った。

孫興民はブンデスリーガだけで計１６５試合に出場して４９得点をマークし、ワールドクラスに成長した。ドイツの強豪ドルトムントとの対戦で８得点している。今回は自分を育ててくれたドイツとの対戦だ。

孫興民はスウェーデン戦では守備のために攻撃本能を発揮できなかったが、メキシコ戦では後半ロスタイムに鮮やかなミドルシュートを決めた。孫興民はメキシコ戦の後、涙を流した。

ドイツの記者は「涙が出るほど悲しかったのか」と尋ねた。孫興民は「大韓民国の国民としてＷ杯に出るのは光栄なことだ。サッカー選手として常に特別な舞台だと考える。国民を代表して出る大会で当然、負けたくなかった。良い試合をしたが結果を出せず悔しかった。多くの国民、選手、スタッフに申し訳なかった」と話した。

奇誠庸（キ・ソンヨン、スウォンジーシティ）と朴柱昊（パク・チュホ、蔚山）がけがで欠場して２連敗した選手団の雰囲気について、孫興民は「奇誠庸先輩と朴柱昊先輩は戦術的、精神的に大きな役割をする選手であり、残念だ。奇誠庸先輩は主将として多くの役割をし、あまりにも負担が大きかった」とし「他の選手たちがそれだけ準備しなければいけないようだ。けが人まで考慮して２３人の選手がいると考える。奇誠庸先輩は代わりの選手がいないほど良い選手だが、十分に戦えると考える。チームの雰囲気は悪くない。よく準備している」と話した。

２０１４年に初めて出場したブラジルＷ杯と今回の２回目のＷ杯の違いを尋ねる質問に孫興民は「４年前と今は違う点が多い。自分の年齢が上がった。黄喜燦（ファン・ヒチャン、ザルツブルク）と話をすると、自分が４年前に黄喜燦のような考えで出てきた。自信に満ちていてすべて勝てると考えたが、分別がなかった。今も同じだが」とし「Ｗ杯に来る前からまだ期待は持っていたが、怖いという感じがする」と語った。

スウェーデン戦とメキシコ戦の違いについて孫興民は「やろうとする意志が違った。スウェーデン戦は良い試合ができなかったが、メキシコ戦は最善を尽くす姿を見せた。最善がすべてではなく、結果も重要だ」と話した。

ドイツの記者が「ドイツが１６強に進出できなければどれほど喜ぶと思うか」と尋ねた。孫興民は「どう答えてよいのか分からないが、自分たちとドイツが対戦するのなら自分たちが上がらなければいけない。我々も今の状況を考えなければならず、ドイツも我々に勝たなければいけない状況だ。ドイツは世界チャンピオンで世界１位」としながらも「まだ結果は分からない。メキシコがドイツに勝つと考えていなかったため、自分たちもよく準備をして、どういう結果になろうと最善を尽くし、結果を受け入れることが重要だ」と答えた。

孫興民は「自分たちができる最大限のことをすることが大切だと思っている。メキシコ戦で選手たちは競技場で最善を尽くした。ドイツを苦しめることが重要だ。これまでしてきたラインで自分たちができる限りのことをしたい。いろいろと考えるよりも、シンプルでダイレクトにすることが重要だ」と話した。

韓国は１６強進出の可能性が非常に低い。孫興民は「自分たちは１％の可能性、１％の希望を小さいと考えない。あす良い結果を得れば１６強に進出するかが重要だが、多くの国民に希望を与える試合をしたい」と語った。

最後に孫興民は「個人の能力でドイツが上回るのはファクトだと考える。最も重要なことは、できるという考えを持って競技場に出て行くことだ。ボールは丸く、サッカーは１１人ですることだ。十分にできるということをメキシコ戦で示した。悔いのない試合ができればいいと思う。そしてチームの能力が良くて勝てば、それ以上のことはない。できるだけのことをする」と話した。