【社説】韓EU間FTAを韓米・韓日中FTAの刺激剤に
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2009.10.16 11:30
昨日、韓国と欧州連合(EU)が自由貿易協定(FTA)の協定文に仮署名した。これを受け、来年1-2月の本署名後、来年7月からFTAが正式に発効する見通しとなった。双方が公開した協定文によると、今後3年以内に工業製品(99%)に対する関税を段階的に撤廃し、5年以内にすべての工業製品への関税を撤廃するという。2年5カ月間の厳しかった交渉が結実したのだ。人口5億人のEUは域内の総生産(GDP)が18兆3300億ドル(約1600兆円)にのぼり、世界トップの経済圏だ。外国人の対韓直接投資の半分、韓国貿易の黒字の38%を、EUが占めている。特に世界経済危機の中、韓国とEUが自由貿易で提携したのは時期的にも格別な意味がある。
昨年から世界の貿易規模は激減している。世界貿易機関(WTO)の推定によると、今年も世界貿易は前年比で約10%減になる。そのためか世界のあちこちに不穏な空気が漂っている。この1年間、各国で為替レートの変動が激しくなり、輸出の減少に敏感になっている。今年前半に中国は輸出総額が22%も減ったものの、世界最大の輸出国に浮上した。半面、ドイツの輸出は34%、日本は37%、米国は24%減った。これに伴い「人民元切り上げ」圧力が強まり、通商摩擦も強まりつつある。中国商務省によると、今年1-8月下旬に中国を相手にした反ダンピング(不当廉売)関税など不公正な貿易に関する措置は79件、100億3500万ドルに達した。前年同期に比べ件数は16.2%増、金額は121.2%増で、世界の通商摩擦の半分が中国に起因している。
輸出依存度を考えれば、韓国は中国よりも深刻だ。輸出がGDP総額に占める割合が46%にものぼる。韓国ほど自由貿易の拡大が切実な国もない。李明博(イ・ミョンバク)政権が一貫して保護貿易の阻止に向けた「スタンド・スティル(Stand Still=新たな貿易障壁の禁止)」原則を強調するのも、こうした理由からだ。「輸出依存体質」を変えるためには内需の拡大も重要だ。経済危機の克服に向けた財政投資を増やし、低金利を維持するのも重要である。だが、韓国経済の安定的な発展に向けた最も重要な政策方向は、対内的には為替レート変動に影響されないよう輸出競争力を育てる一方、対外的には自由貿易の拡大を制度化することだという点を忘れてはならない。