サムスン電子がアップルのｉＰｈｏｎｅに搭載された音声認識ソフト「Ｓｉｒｉ」を作ったニュアンスコミュニケーションズの買収を推進していることがわかった。実現する場合には世界のＩＴ市場でライバルであるアップルとサムスン間の競争構図にも大きな影響を及ぼすとみられる。

米ウォールストリートジャーナルは１７日、サムスンが今年初めからニュアンス買収に向けた協議に入ったと報道した。ただ同紙は両社間の売却交渉がどの水準まで進んだかは確実でないとしている。

ニュアンスは携帯電話とテレビ、カーナビゲーションなどに使われる音声技術を開発する会社だ。音声認識技術と関連した特許使用料だけで年間１兆ウォン以上を稼いでおり、現在４０００件程度の特許を保有しているとされる。アップルが２０１１年にｉＰｈｏｎｅ４から搭載した「Ｓｉｒｉ」と、サムスン電子の「Ｓボイス」にもニュアンスが開発した音声認識技術が使われている。ＩＴ企業だけでなく、ゲーム機メーカーの任天堂、自動車メーカーのベンツにも音声認識サービスを提供している。

ニュアンスの最大の事業部門は患者の記録をデジタル化するヘルスケアソフトウェアでもある。同紙はニュアンス買収にはサムスンだけでなくさまざまなプライベート・エクイティ・ファンド（ＰＥＦ）も参入していると伝えている。