【社説】集団知性が発揮された原発建設再開決定=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.10.21 14:04
新古里(シンゴリ)原発5・6号機の運命を決める公論化委員会が昨日活動を終え、「工事再開」を政府に勧告した。3カ月間の公論調査と合宿討論などを進行しながら議論した結果、賛成意見が59.5%、中断意見が40.5%となったからだ。政府も公論化委員会の勧告を尊重し、24日の国務会議で工事再開を決定する予定だ。
公論化委員会の議論の結果はやや意外だ。一般国民を対象にしたこれまでの世論調査では、工事再開と中断の意見が誤差範囲内だった。しかし公論化委員会に参加した471人の市民参与団の中では工事再開の意見がかなり多かった。参与団が賛成と反対の両陣営の意見を深く検討し、経済性と環境、安全の間の均衡を熟考したことが分かる。4回の公論調査の過程で工事再開の意見が増え、若年層の反対が明確に減った点がこれを傍証する。公論化委員会が原発反対の雰囲気が強調された「傾いた運動場」だという懸念にもかかわらず、市民参与団は冷静さを失わなかった。韓国社会の水準が「熟議民主主義」が作動するほど成熟したという証拠だ。今後、国民の生活に関連する主要政策を決める時、このような集団知性の力を活用する機会が増えることを望む。
公論化委員会の今回の勧告は、大統領の公約に対するこれまでの社会的な認識も変えた。政界はその間、「大統領の選挙公約に入っていれば国民の承認を受けたもの」という認識の下、社会的な議論や合意の過程を無視してきた。その結果、少なからず葛藤と後遺症が生じた。しかし大統領選挙での当選がすべての公約に対する国民的な承認を意味するわけではないということだ。脱原発と新古里5・6号機建設の中断は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の大統領選挙公約だが、論争が絶えなかった。このような公約を政策に移す時、国民的な合意をもう一度確認しなければいけないという教訓を今回の公論化委員会が残した。こうした事例は時間が経過するほど増えるだろう。執権当時の公約より政策実行時の民心が優先という事実を政府・与党は常に忘れてはいけない。