【コラム】「中途半端なノーベル賞」よりも「非核化平和賞」をもらおう=韓国

【コラム】「中途半端なノーベル賞」よりも「非核化平和賞」をもらおう=韓国

2018年10月01日10時04分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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韓国の文在寅大統領(右)と北朝鮮の金正恩国務委員長が、4月27日の南北首脳会談で「板門店宣言文」に署名後、明るい笑顔で抱擁している。(写真=青瓦台写真記者団)
  ノルウェーノーベル委員会が今年のノーベル平和賞受賞者を今月5日(現地時間)に発表するという外信報道が伝えられると、韓国社会は陣営によって賛否両論と甲論乙駁が熱くなっている。

  何と言っても関心の焦点は、今年、韓半島(朝鮮半島)平和ムード造成に寄与した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長、米国のドナルド・トランプ米国大統領が平和賞を受賞するかどうかだ。現在では3人全員が受賞者になる可能性があり、2人にも、1人だけにもなる可能性がある。3人全員、受賞から漏れる可能性もある。

  ノーベル委員会は2月に推薦を締め切ったが、最終受理した331人の候補名簿さえも秘密だ。発表前なので推測が乱舞している。英紙インディペンデントはこれに先立ち今年3月、「バラク・オバマ前大統領ができなかった北朝鮮問題をトランプが解決すればトランプが平和賞を受賞する可能性がある」と予想した。BBC放送は「文大統領が米朝首脳会談を成功させて韓半島の核戦争の危険を減らすことができれば平和賞をもらう可能性がある」と見通した。

  4・27板門店(パンムンジョム)南北首脳会談直後、英国のあるブックメーカーは平和賞受賞筆頭に文大統領と金委員長を予想した。2人の指導者は板門店共同警備区域に引かれた軍事境界線を共に行き来し、「徒歩の橋」対話で強い印象を残した。予想第2位にはトランプ大統領と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が挙げられた。ただし、今年5月、米国下院議員18人がトランプ大統領を2019年平和賞候補に推薦したことから来年に持ち越される可能性もある。

  賞金が900万クローナ(約11億ウォン)の平和賞は、人類と世界平和に寄与した個人と団体に1901年から授けられてきた。赤十字創始者であるアンリ・デュナンをはじめ、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師、マザー・テレサ、ダライ・ラマ、ミハイル・ゴルバチョフ、ネルソン・マンデラなど、名前を聞いただけでも納得できるような受賞者が多い。

  だが、全6分野のノーベル賞のうちで平和賞ほど賛否両論が激しく飛び交う賞も珍しい。受賞者の適格については絶えず議論の的となった。ミャンマー民主化活動家のアウン・サン・スー・チー女史がその一例だ。反独裁闘争と人権運動の功労で1991年に平和賞を受賞したが、2015年に実権を握った後は少数民族(ロヒンギャ)の虐殺を黙認したという批判を受けた。平和賞剥奪要求まで出るほど、一瞬の光栄の後にそれよりも大きな不名誉を得た。オバマ前大統領の場合も、2009年就任3カ月で「核兵器のない世界」を宣言したという地味な功労だけで平和賞を受賞して適格論争が起こった。その後、イラク戦争およびアフガニスタン戦争終戦宣言、イラン核交渉妥結で遅まきながら体面を保った。

  韓国社会でも平和賞は深刻な問題だ。金大中(キム・デジュン)元大統領が史上初めての南北首脳会談が開かれた2000年にノーベル賞を受賞すると、元国家情報院の職員は「金大中政府時代、国家情報院がノーベル賞受賞のための秘密工作をした」という疑惑を2003年から繰り返し提起してきた。昨年、文政権となってからは国家情報院改革委員会が「李明博(イ・ミョンバク)政権時に国家情報院が金大中平和賞取り消し工作をした」と暴露した。ノーベル賞をめぐって情報機関まで登場するほど、韓国でノーベル賞は揮発性の強い政治・社会イシューになった。今回も同じだ。今年3月、ある民間団体は「文在寅大統領ノーベル平和賞推進委員会」結成のための発起人会合を開こうとしたが、直後に青瓦台(チョンワデ、大統領府)に反対請願が投稿されて取り消すハプニングが起きた。

  受賞者の発表が迫ると韓国ネットユーザーの間で再び賛否の舌戦がヒートアップしている。こうなれば、平和賞が韓半島の平和を促進するどころか国内葛藤を激化させるのではないかと心配になるほどだ。事実、平和賞受賞は良いことだが、平和賞が平和を保障するわけではない。たとえば、イスラエルとパレスチナ指導者3人がオスロ平和協定締結に寄与した功労で1994年平和賞を共同受賞したが、中東の平和は今も遠いままだ。金大中元大統領のノーベル賞受賞からわずか2年後、第2次北核危機が高まり北朝鮮の核開発はさらに速まった。

  分断と戦争の傷が癒えないまま65年間停戦状態の韓半島を考えると、現在としてはノーベル賞よりも平和のほうが切実だ。ノーベル平和賞は政治だが、非核化は現実だ。外信が受賞候補群に挙げた文大統領は平和賞に対して淡々とした態度をすでに表明している。板門店会談直後、故金大中(キム・デジュン)大統領の李姫鎬(イ・ヒホ)夫人が「大きなことを成し遂げた。ノーベル平和賞を受けなさい」と祝電を送ると、文大統領は「ノーベル賞はトランプ大統領が受賞し、我々は平和だけをもたらすことができればいい」と述べたという。

  今年だけで3回の南北首脳会談を行い、6月には史上初の米朝首脳会談も開かれた。だが、実質的な平和を保障してくれる真の非核化について壮語するのはまだ早い。賛否両論の多い合意文と宣言文が発表されたが、非核化という本質的変化はまだ手がつけられていない。第2回米朝首脳会談と11月米議会中間選挙という重大な峠を越さなくてはならない。今は平和賞をめぐって皮算用しながら興奮する時ではなく、冷静に徹底して非核化戦略を立てていかなければならない時点だ。もちろん、「中途半端なノーベル賞」でも拒む理由はないが、非核化を実質的に終わらせた後、「真の平和賞」を堂々と受賞すすほうがずっといい。

  チャン・セジョン/論説委員
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