【コラム】文在寅大統領が「雇用大統領」として記憶されるには

【コラム】文在寅大統領が「雇用大統領」として記憶されるには

2017年06月28日08時48分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  どんな組織でも個人の業績を評価する内部構成員だけのものさしがある。現われた成果とは別に何が実際に難しいことなのかよくわかるためだ。たいてい比較的容易な業績をたくさん積んだ人よりは本当に難しいことや決定をやり遂げた人が長く記憶される。

  何年か前に退任する韓国銀行金融通貨委員に所感を尋ねると、「金利を一度も上げられずに離れるのが残念だ」という答が返ってきた。意外だった。当時の経済状況で金利引き上げは考えることすらできないことだったためだ。むしろ景気浮揚のために金利をさらに下げるべきという要求が激しかった。だから上げなければならない時に上げられなかったという悔恨ではなかった。それよりは韓国銀行内で後々まで「金利も一度も上げられなかった金融通貨委員」として記憶されることに困惑したのだろう。来年3月までが任期である李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が最近金利引き上げのシグナルを送り出したのにはおそらくそうした焦燥感も一役買っているだろう。

  金利は下げるのは簡単でも再び上げるのは非常に難しい。適切なタイミングをつかむ判断力はもちろん、利害関係者などの反発と政界の圧力を突き抜けて実行に移す果敢さが同時に必要だ。「インフレファイター」と呼ばれるポール・ボルカーが米連邦準備制度理事会(FRB)100年の歴史上最高の首長に選ばれるのはそのためだ。彼は1970年代末に物価が2桁台で上昇すると金利を20%まで上げる強硬手段を取った。金利急騰に驚いた農夫がトラクターに乗ってFRBの建物を取り囲み、建設業者は前庭に建設資材を積み上げ圧迫したが彼は屈しなかった。こうした戦争のような状況を経て物価はようやく落ち着き始め、80年代のレーガン時代の好況もその土台の上でなされた。

  新政権の「雇用ドライブ」を見ながら残念に思うのもその部分だ。公共部門の採用を拡大したり、公企業の非正規職を正規職化することももちろん考えるほど容易なことではない。だが韓国銀行で言えば「金利を下げる程度」の難易度だ。本当に「雇用大統領」と評価されたいならば、それよりも大変な課題も避けずに取り組まなければならない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領のシンクタンクを牽引する西江(ソガン)大学のチョ・ユンジェ教授がまとめた『韓国の所得分配』にも答が出ている。

  「雇用率向上政策は本質的に(すでに安定した雇用を持っている)労働者の既得権と政治構造の再編を内包するほかはない。所得分配構造改善のためには(既得権者よりは)脆弱層中心に政策方向を鮮明にする必要がある」。

  「労働市場二極化の主要因は中小企業の低い生産性だ。技術革新と構造調整を通じた生産性向上がなされてこそ賃金格差を減らせる」。

  試験をうまくやる要領のひとつは「わかる問題から解く」というものだ。難しい問題に取り組んで時間を使い簡単な問題まで逃す愚を犯すなという話だ。だが雇用問題は簡単なものだけ解いて「落第」を免れられる水準の試験でない。少しの間先送りすることはできても結局難しい問題も解決しなければならない。

  チョ・ミングン/JTBC経済産業部次長
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