－－韓米首脳会談後、文在寅（ムン・ジェイン）大統領の全ての発言に韓半島平和体制構築の話が入っていた。

「９６～９８年の四者（韓米中朝）会談を振り返ってみなければならないだろう。クリントン・金泳三（キム・ヨンサム）大統領が首脳会談で合意した後、２年間、韓半島平和協定の締結に集中した。会談に出ようとしない北朝鮮を中国まで出てきて交渉テーブルに座らせたが、北朝鮮は２年間というもの米朝間の協定サインと米軍の撤収だけを主張した。（信頼構築など）協定に含まれる内容には関心がなかった」。ストラウブ氏は「北朝鮮が核を事実上保有した現在、協定のことを出せば『韓半島の外勢排撃』をもっと強く主張するだろう」とし「四者会談から２０年が過ぎた今は中国の存在も直視しなければならない」と強調した。「過去１０年間、国防費を急激に増やした国は日本でも米国でもない、中国（２０１６年２２４兆ウォン、約２３億円）だ。現在、中国の韓半島政策の目標は在韓米軍の撤収だ。中国と北朝鮮の戦略的目標は同じだった。ＴＨＡＡＤ（高高度ミサイル防衛）でなくても、中国が望まないことを韓国や韓米がしようものなら、強力な制裁のようなものを韓国に講じるだろう。韓国で韓日米共助をめぐり冷戦構図の復活だと主張する人々がいるが、誰が冷戦構図の復元を求めるのだろうか。中国とロシアだ」

－－２００９年８月、クリントン元大統領と共に北朝鮮を訪問して５カ月間抑留された女性記者２人を連れ出した。

「北朝鮮が女性記者を人質として捉えて前職大統領を呼びつけた。北朝鮮が米国と対話しようと送ったシグナルだという人々もいたが、彼らはわれわれ一行にいかなる特別なメッセージも与えなかった。１枚の写真〔金正日（キム・ジョンイル）とクリントン元大統領〕を撮影して体制の宣伝をしようとしたのか、まだその意図をつかめないでいる。なぜ米国人を人質に取って脅迫するのだろうか。こうしたことに対する北朝鮮への米国の反感を、北朝鮮高位層要人で知っている者はいるはずなのになぜ続けるのだろうか。ワームビア氏の事件も同じだ。本当に米国を知らないのだろうか。米国に害になることをすることが彼らにとっては善だからそうなのか。結局は体制の本質問題ではないだろうか」

－－定年にはまだだが、２００６年に外交官職から引退したと聞いた。

「ジョージ・Ｗ・ブッシュ政府の外交安保政策とこれ以上共にすることができなかった。北朝鮮イシューではなく、ブッシュ大統領の承認下で米政府がテロ容疑者に加えた水拷問（Ｗａｔｅｒｂｏａｒｄｉｎｇ）行為を許すことができなかった。自分の国が水拷問を？　耐えられなかった。１９８２年当時、国務省の例年人権報告書資料を作成する時、韓国内の水拷問事例を報告することになり衝撃を受けたが、それを米国がしたのだ。外交官としての仕事を熱意を持ってやろうとしたが、トップにいる人間が米国のイメージを崩してしまったことに対して心理的に我慢できなかった」

ストラウブ氏はインタビュー中は英語を全く使わなかった。韓国語はつかえるところがなく、流暢だった。「若い時にもっと一生懸命学んでいたらどれほど良かっただろう。年を取ってから矯正するのは大変だ」と謙遜した。ストラウブ氏は韓国人の夫人との間に２男１女がいる。今年初め、世宗研究所に着任する前は米スタンフォード大韓国学センター副所長を務めていた。反米主義が噴出した１９９９年～２００２年の経験に基づいて『反米主義から見る韓国現代史』を出版した。


「北、韓国の成功を恐れている…米が離れるか、さもなくば戦争が起きるか」（１）