「イ・セドル九段が世界に人工知能の存在を知らせたとするならば、柯潔は人工知能の価値を再確認させた」。

ＫＡＩＳＴ経営学科のイ・ビョンテ教授は人工知能（ＡＩ）「アルファ碁症候群」が社会にもたらした衝撃をこのように表現した。実際に昨年３月のイ・セドル九段とアルファ碁の対局後１年ほどの間に世界ではＡＩ関連製品とサービスが相次いだ。ＡＩシステムを搭載した家電と自動車、スマートフォンが先を争って公開された。金融と流通会社もＡＩを組んだサービスを競争的に投入した。

このうちＡＩ競争が最も激しい市場がスマートフォンだ。昨年グーグルがグーグルアシスタントを搭載した「ピクセル」を、中国ファーウェイが独自のＡＩを搭載した「オーナーマジック」を発売したのが信号弾だった。今年発売されたファーウェイの「Ｐ１０」（アマゾン・アレクサ）、ＬＧエレクトロニクスの「Ｇ６」（グーグルアシスタント）、サムスン電子の「ギャラクシーＳ８」（ビクスビー）など、プレミアムスマートフォンは例外なくＡＩ機能を掲げた。

米家電メーカーのワールプールはアレクサと組んで「今年発売するすべてのプレミアム家電にＡＩ機能を搭載する」と明らかにした。アウディはやはり米国半導体メーカーのエヌビディアの人工知能プラットフォームを搭載し自動運転車を公開した。

金融・流通業界もそわそわしている。日本のみずほフィナンシャルグループは「ソフトバンクと組んで貸し出し審査を担当するＡＩサービスを秋から開始する」と明らかにした。韓国ではウリィ銀行がＡＩ音声認識技術をインターネットバンキングに導入した。ロッテ百貨店とセブンイレブンなど流通業者もＡＩ技術を組み合わせた対面サービスを出した。

ＡＩ関連製品とサービスがこの１年間にあふれたのはアルファ碁症候群と無関係ではない。消費者がＡＩというキーワードに敏感に反応するため先端技術を強調する産業ではマーケティング次元からもＡＩを積極的に活用することになったのだ。だが相当数の製品は人工知能と呼ぶにはまだ技術的水準が低いのが現実だ。マーケティング次元でＡＩを活用する側面があるという話だ。イ・ビョンテ教授は「１９８０年代には町内のクリーニング屋まで『コンピュータ洗濯』をうたい、ナノ技術が人気を呼んだ時には歯磨き粉まで『銀ナノ技術』を強調して発売されたように、ＡＩ関連製品の相当部分はマーケティング効果を狙った面が多い。一部製品はＡＩ機能による便宜性が大きく増大しておらず事実上マーケティングのための装置とみる」と説明した。


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