◆被害者証言記録は韓国の義務

しかし日本の戦犯の処罰は被害国の韓国の義務だというのがツーロフ氏の考えだ。ツーロフ氏は「日本政府がしなければ韓国が動くべき」と述べた。「対外的には日本に強く圧力を加える義務があり、対内的には戦争犯罪被害者の証言などを記録し、後世に永遠に残すようにあらゆる措置を取らなければならない」ということだ。また「国が一種の追悼機構を設立し、記録の保有だけでなく日本に行動を要求するロビー団体として活用することもできる」とし「ユダヤ人はこの分野に多くの経験を持っていて、韓国と分かち合える」と提案した。ツーロフ氏は「日本や一部の東欧国家のように、罪を隠すために歴史歪曲や不正を試みる国が、相応の責任を取るよう支援するのが私の最終的なな目標」と述べた。

ツーロフ氏は被害国の政府が戦犯を自国の法廷に立てせた例としてアドルフ・アイヒマン（１９０６－６２）を挙げた。ヒットラーの側近だったアイヒマンはアルゼンチンに隠れていたが、イスラエル諜報特務庁（モサド）に拉致された後、エルサレム裁判所で死刑を言い渡され、絞首刑に処された。アルゼンチンの主権を侵害した厳然たる国際法違反だったが、イスラエルが謝罪するラインで特別な外交紛争なく終わった。

ツーロフ氏は戦犯も高齢であるため、彼らが自然死する前に法廷に立たせることを最も難しい課題に挙げてきた。ツーロフ氏は普段から「ナチス戦犯の無病長寿を祈るユダヤ人は世の中で自分だけではない」と話してきた。「韓国では戦争犯罪被害者が８０－９０代の高齢となり、日本からきちんと謝罪や補償を受けられずに亡くなるケースが多い」という説明を聞くと、ツーロフ氏は遺憾を表した。

４月現在、女性家族部に登録された慰安婦被害者２３７人のうち現在の生存者は５９人。ツーロフ氏は「私たちが経験したのは天災地変ではなく、人間が犯した残酷な惨事という点を忘れてはならない」と述べた。

米ニューヨークで生まれて育ったツーロフ氏の幼児期の夢はプロバスケット選手だった。しかし歴史を専攻してホロコーストに関心を持ち、イスラエルで博士学位を取得することになった。ちょうど米国政府が戦犯処罰のための特別調査チームを構成し、ここに参加しながらヴィーゼンタール氏に会ったのが、ツーロフ氏の人生を変えた。




最後のナチス戦犯ハンター「日本、過去の歴史忘却を越えて歪曲」（３）