日本政府が進めている朝鮮人徴用者遺骨調査が、極めて一部の企業を対象に行われており、正確な実態解明にはほど遠い縮小調査だという疑惑が提起された。 朝鮮人強制連行真相調査団は16日、記者会見を行い、「朝鮮人徴用者が働いていた企業は、日本政府の資料から確認されたものだけでも400カ所以上にのぼるが、日本政府の調査は100社余にすぎない」と明らかにした。また「日本政府が形式的な調査を行って一部の遺骨だけを返還し、強制徴用問題を早期に片付けてしまおうという意図があるのはでないか疑わしい」と指摘した。 調査団は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)系の同胞と日本人学者・弁護士などが1972年に組織し、およそ30年間にわたり調査活動を行ってきた。
◇広範囲にわたる強制連行=植民地時代の朝鮮人徴用者の数は少なくとも60万人、多ければ100万人以上と推定されている。 日本厚生労働省の集計では、1939~45年に66万7684人の朝鮮人が日本企業に徴用されたという。 うち、およそ1割にあたる6万7609人の名簿が、91年、日本政府の実態調査で確認された。 韓国政府もこの名簿を譲り受けた。 真相調査団がこの名簿を分析した結果、朝鮮人徴用者は三菱鉱業、麻生鉱業など計406社の502事業場に投入されたという事実を確認した。 徴用者1000人以上を雇用した企業だけでも、三井炭鉱(1万989人)など30社にのぼることが分かった。 調査団のホン・サンジン事務局長は「算術的には4000社、作業場が重複するケースを勘案しても1000社以上で働いたと推算される」と語った。
◇放置された遺骨=真相調査団は60万~100万人の徴用者のうち、数万人は日本で死亡し、うち数千人の遺体は縁故者が確認されず、日本各地に放置されていると見ている。日本政府は、強制連行者のうち軍人・軍属として働いて死亡し、遺族が確認できない1136人の遺体を東京の裕天寺に保管中だ。 しかし民間企業で働いて死亡した人については「政府が関与する事項ではない」として放置してきた。 このため遺骨に関する正確な資料はどこにもない。 こうした中、昨年の韓日首脳会談で、日本が縁故者が分からない徴用者遺体の実態を調査し、韓国に返還することに合意した. これを受け、外務省は今年初めから企業100社余を対象に調査に着手した。 2社が遺体を付近の寺院に保管している事実が確認され、韓国への返還問題を協議中だ。