韓国法務部検察過去史委員会が２０日、性接待の加害者リストがあると推定された「チャン・ジャヨン・リスト」に対して控訴時効と証拠不足を理由に検察に再捜査を勧告しなかった。ただし、チャン氏の所属事務所代表であるキム・ジョンスン氏（５０、実名キム・ソンフン）が過去の裁判で偽証をした疑惑に関しては捜査を開始するよう勧告した。

過去史委はこの日、大検察庁真相調査団から報告を受けた後、このように発表した。真相調査団は昨年４月から１３カ月間参考人８４人を調査した。調査団は１３日、２５０ページ分量の最終報告書を過去史委に提出した。過去史委は先に政治家や言論人、企業家などが記されたと推定される性接待リストの疑惑に対しては「真相究明が不可能だ」と判断した。チャン氏の性暴行被害疑惑に関連しては「現在までの調査結果では、特殊強姦疑惑を認めるほどの資料が発見されたと見難い」と説明した。「特殊強姦」は今回の再調査の中心内容だった。薬品が使われたか、あるいは２人以上によって行われる特殊強姦の控訴時効が１５年だからだ。チャン氏の後輩女優だったユン・ジオ氏が３月、調査団に「チャン氏が飲み会でビール一杯も飲んでいなかったのにまるで麻薬を使った人のように人事不省に陥ったことを目撃した」と明らかにして関連疑惑が急流に乗った。

だが、過去史委はこの日「ユン氏の供述は『酒に薬を入れただろう』という１次推定と『自身が離れた後、性暴行が行われただろう』という２次推定である二重的な推定に基づいた」として「ユン氏が正式面談では該当供述を覆した」と明らかにした。

ただし、過去史委はユン氏以外に追加証人の供述や証拠が出てくる可能性を排除しなかった。

過去史委は「控訴時効が完成する前に強姦致傷犯行に対する証拠が確保される可能性があり得る」として「性暴行疑惑に関連した最大限想定可能な控訴時効の完成日である２０２４年６月２９日までこの事件記録と調査団調査記録を保存できるようにせよ」と勧告した。

朝鮮日報が当時、捜査を揉み潰すために外圧を行使したという疑惑に対しては控訴時効（特殊脅迫、７年）が過ぎて捜査勧告につながらなかった。過去史委はチョ・ヒョノ元警察庁長官が「京畿（キョンギ）地方警察庁長官時代、朝鮮日報社会部長が訪ねて『李明博（イ・ミョンバク）政府がわが朝鮮日報と一戦交えてみようということですか』として私を脅迫した」と述べた点が事実と認定されると判断した。

朝鮮日報はこの日の立場文を通じて「過去史委の発表は一部要人の一方的な主張に基づいたもので全く事実でない」として「チョ・ヒョノ元庁長が捜査の外圧を受けたという主張は明白な虚偽」と主張した。また、「朝鮮日報と該当部長はチャン・ジャヨン事件捜査を前後にチョ元庁長にただ一度も会ったことがない」と明らかにした。

過去史委はチャン氏の所属事務所代表だったキム・ジョンスン氏が２０１２年、イ・ジョンゴル当時民主党議員の名誉毀損疑惑関連裁判で「チャン氏を暴行したことがない」とか「（朝鮮日報のパン社長を）後ほど誰なのか分かった」と証言した部分に対して偽証の疑惑で捜査を始めるよう勧告した。

１０年ぶりに再捜査を受けるキム氏がどのような主張をするかによってチャン・ジャヨン事件が再び水面上に浮び上がる可能性も残っている。